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文春野球コラム

元ヤクルト・今浪隆博が書く「青木宣親、坂口智隆、大引啓次の良さは“表情”にあり」

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/08/05
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【監督・長谷川晶一コメント】
 絶好のチャンスを迎えたときに、もっとも頼れる男がベンチから登場する。期待に胸を膨らませる大観衆。そして沸き起こる大歓声。昨年まで現役選手だったヤクルトの代打の切り札が文春野球に登場する。ダメ元で原稿依頼をしたところ、「やったことはないけど、挑戦してみます!」と快諾。余裕を持って、8月中旬に締め切りを設定していたのに、依頼から2日後には味のある原稿が届いた。ここはあえて「ピンチヒッター」ではなく、「チャンスヒッター」という言葉を使いたい。監督である僕は、満を持して審判に告げよう。「代打、今浪!」と!

2017年に現役を引退した今浪隆博 ©時事通信社

現役引退後、夢中になっているのは「読書と勉強」

 現役を終えて、現在取りくんでいることは勉強だ。勉強といっても学校の授業ではなく、人間としての魅力を高めたいと思い、毎日勉強している。漫画やアニメが好きで、自宅にも漫画本が2000 冊はあったと思う。しかし現在は、自宅に漫画本は一冊もない。すべて処分した。なぜなら、今ハマっているのは絵の載っていない本だからだ。漫画が嫌いになったわけではない。私のアイデンティティーは漫画に大きな影響を受けていると思っているし、これからも大きく変わることはないと思う。

 しかし、今は本を読むことが本当に楽しい。現役のときに読んでいなかったことが悔やまれるほどに楽しい。知らなかったこと、興味のなかったことが、わずか1500円位で知ることができるし、興味を持たせてくれるのだ。現役を終えたときに、これからの人生について悩むことがあった。そのときに、一冊の本と出会いとても刺激を受けた。その本は、『その幸運は偶然ではないんです!』という本だ。

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 この本と出会ってから、これまで以上に積極的に人と会うようになった。そして、自分の行動の選択に迷いはなくなった。自分の中で、とてもいい変化が起こったように感じる。それ以来、さまざまな本を読むようになった。これまで漫画しか入っていなかった本棚に、最近では絵の載っていない本が並び始めている。

原稿執筆中の様子 ©今浪隆博

 もう一つ、今の僕の活動の中心は、JFA(日本サッカー協会)の主催する「夢先生」だ。「夢先生」とは、夢や目標を持つことのすばらしさ、それに向かって努力することの大切さ、フェアプレーや助け合いの精神を、子どもたちと語り合い、触れ合いながら伝えていく活動だ。小学校や中学校に行って、夢を持つことのすばらしさを伝えている。今までは、「今浪隆博」を知っているところに行き、しゃべりたいことをしゃべっているだけで、ある程度はお客さんに楽しんでいただくことができていたように思う。

 しかし、「夢先生」に行っても「今浪隆博」を知っている生徒はほんの数人しかいない。その中で、話の内容にいかに興味を持ってもらうかは、とても重要になってくる。試行錯誤しながら、「どうすれば伝えることができるのか」を考えている時間はとても勉強になる。本当にいい経験をさせていただいている。また、授業を終えた後に行われる「夢シート」という、夢についての生徒とのやり取りもとても刺激になる。伝えたかったことが伝わったのか、生徒が、夢についてどんなことを思っているかなどを知ることができるからだ。私自身、いつまでも夢を持って生きていきたいと思う。実際に達成したい夢もある。だからこそ、「生涯学ぶ」ということが大切なのだと思う。

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