羽生結弦も愛用 エデアのシューズは何がスゴい?
「エデアが2007年に売り出した『アイスフライ』は、従来の硬くて重いスケート靴の概念を変えるものでした。従来のものが作業靴だとすれば、こちらはスニーカー。軽くて全体的に柔らかく、履き心地がいいんです」
「硬くて重い」から、「柔らかくて軽い」へ。そのひみつは、素材にありました。エデアのスケート靴には、牛革ではなく軽さを出せる人工皮革が採用されていたのです。さらに内部には低反発クッションがあるため、まったく痛みがなく、初日からフィットする。そう、慣らし運転をしなくてもいいのです。
ただ、軽くて柔らかいスケート靴に慣れていないスケーターたちにとって、アイスフライは少々柔らかすぎたようで、エデアは少し硬さに寄せた靴を出します。強度を出すために樹脂の量を増やしたため、多少重くはなりましたが、この新商品『ピアノ』はメガヒットとなりました。軽くて適度に柔らかいピアノは、多くのスケーターを魅了しました。そのひとりが羽生結弦さんです。
「エデアが流行ったのは、羽生さんが早くから愛用したことも大きいと思います。彼は世界ジュニア選手権に優勝したあとの16歳くらいからエデアを履き始めて、アイスフライとピアノで結果を出し続けた。そこから若い世代にエデアが浸透して、気がつけば全日本のトップクラスがほとんどエデアを履くようになったんです」
さて、気になるピアノのプライスは税込み11万7700円。羽生さんは、これに同12万1000円のブレードを装着して氷上を舞うのです。
最後に、櫻井さんが研磨師の視点から羽生さんの滑りを評価してくれました。
「難しいリクエストをされる選手も中にはいますが、羽生さんは私たち研磨師からすると靴持ちがよくて楽ですよ。演技中、力を逃がせない選手は靴が壊れやすいですが、彼は滑りが自然で衝撃を逃がしてくれる。靴にやさしい演技をするので、私たちも助かっているんです」
スケート靴に負担をかけない自然体の演技。道具を知ることで、羽生さんの強さのひみつが見えてきました。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。
