大相撲で、十両以上の関取が土俵にまく「清めの塩」。この塩、一体どこの塩が使われているのだろうか?

 調べてみると、私たちの身近な「ある塩」が使われていることが分かった。スポーツライターの熊崎敬氏による書籍『大谷のバットはいくら? スポーツを支える道具とひとびとの物語』(柏書房)から一部抜粋して、お届けする。(全3回の2回目/続きを読む

関取がまく「清めの塩」は、どこの塩? (写真=相撲協会公式インスタグラムより)

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 色鮮やかな化粧まわしに行司の装束、そして館内に響きわたる乾いた拍子木の音。非日常の景色が広がる大相撲には、私たちの食生活に欠かせない塩が、大切な役割を果たしています。

 立ち合いの前に関取が土俵にまく塩は「清めの塩」と呼ばれ、神聖な土俵を清めて邪気を払い、関取の心身を清めて安全を祈るという意味が込められています。また関取がすり傷を負った際に、消毒作用が働くことも。

 では、この清めの塩がどこから来ているのか、みなさんはご存知ですか?

 スポーツ雑誌の編集者にたずねられ、筆者は答えに窮しました。そんなこと、一度も考えたことがなかったからです。