10年前は自分の見た目や性格に悩んでいた十二月田さん(TikTok)。そこから見事「垢抜け」に成功し、コスプレイヤーとしてデビュー、ファンがつくまでになった。しかし変身には新たな悩みもついてきた。その成功と葛藤を語るインタビューのダイジェスト版をお届け。

コスプレイヤーの十二月田さん。垢抜けに成功した彼を襲った、次の試練とは? ©松本輝一/文藝春秋

「彼女の隣に並んで恥ずかしくないレベルにはなれた」

 十二月田さんがコスプレを始めたのはまだ2年ほど。それでも中国の大手動画プラットフォーム・bilibiliやニコニコニュースに取り上げられるなど、SNSでは「万バズ」を4回ほど経験している。しかし人気の裏には陰も生まれた。

「どうやら十二月田のアンチの会があるみたいで、僕と一緒にイベントに出た人に嫌がらせしてきたり……」

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 直接「十二月田。まわりが持ち上げているだけだって気づきなよ」と言われたこともあるという。そんな悔しさと悲しさを抱えていた時、偶然にも芸能事務所のスカウトに声をかけられるという経験もした。

 十二月田さんのコスプレは女性キャラクターが中心だが、自身は「『女装』と一括りにされると、ちょっと自分は違う」と語る。女の子になりたいからではなく「コスプレしたいと思ったのがたまたま女の子だった」というのが本音だ。

(写真:本人提供)

 そして「好きな存在を汚したくない」という思いから、メイクやウィッグの調整などを徹底的に研究。男性特有の骨格をカバーする工夫を重ねている。

 努力の甲斐あって、今では「ファンです」と直接会いに来てくれる人も現れた。「めちゃめちゃファンです」と声をかけられたことが「コスプレ人生で一番うれしかったこと」だと笑顔で語る十二月田さん。その人は今でもSNSのプロフィールに「公認顔ファン一号」と記しているという。

 以前の自分と比較して「何千倍、何万倍くらい今の自分が好き」と語る十二月田さん。チー牛時代から付き合いがある彼女からも「すごく変わったよね」と言われるようになった。

「彼女はすごいかわいいので、隣に並んで恥ずかしくないレベルにはなれたのかな」