わずか8年で運用停止となったが…
1990年に羽田可動橋を含む羽田トンネルバイパス路の供用が開始された。船舶が航行する間は道路を旋回させる必要があるため、車が通行できない。そのため、船舶が航行する時間は従来の羽田トンネルを走行する措置が取られた。
その後、1994年に湾岸線が開通すると、そちらが羽田空港へのメインルートとなり、羽田線の交通量は減少。供用開始からわずか8年後の1998年に運用停止となった。ただし、その後も羽田空港が拡張された場合、可動橋の運用を再開する可能性があるという理由で、撤去はされなかった。現在に至るまで27年間にわたり、可道橋は開いた状態のまま存在し続けている。
可動橋は道路橋のほか鉄道橋にも採用されていて、日本国内には動かないものも含めて40ほどの可動橋が現存しているが、そのうち旋回橋は10ほどだ。さらに、合流車線のバイパスとはいえ、高速道路の一部が可動橋になっているのは羽田旋回橋しかない。まさしく唯一無二の存在といえるだろう。
そんな貴重な羽田可動橋だが、供用停止からは27年が経過している。さすがにいずれは撤去されるのかと思いきや、なんと、再度活躍する可能性が浮上してきた。
羽田トンネルは開通から60年以上が経過し、塩分を含む漏水により鉄筋が腐食するなど、多数の損傷個所が確認されている。そのため、抜本的な対策が必要不可欠な状況。そこで、羽田可動橋を含む羽田トンネルバイパス路を迂回路として活用し、羽田トンネルの更新工事を行う。最終的には羽田トンネルを3車線の下り専用とし、羽田可動橋を含むバイパス路は3車線化したうえで上り本線として運用する計画があがっているのだ。


