橋の正体は?
この橋の正体は羽田可動橋といい、その名の通り可動橋の一種で“旋回橋”と呼ばれるもの。橋の下を船舶が通れるように、一時的に車の通行を止めて橋桁を回転させる橋だ。可動橋には、かつての勝鬨橋のように橋が跳ね上がる跳開橋や、橋桁が上昇する昇開橋、そして橋が回転する旋回橋などがある。羽田可動橋には2つの回転軸があり、両岸に近いところで橋桁が旋回し、川の中央部を大型船舶が航行できるように設計されている。
この羽田可動橋は、1990年に首都高1号羽田線の一部として供用された。
当時、羽田空港へアクセスするメインルートは羽田線であり、羽田トンネルによって海老取川の下を潜っている。羽田空港から首都高に入る車は、羽田トンネルの手前のわずかなスペースで本線に合流する必要があったため、羽田トンネル付近は慢性的に渋滞が発生していた。そのうえ合流直後にカーブがあるため、危険性も指摘されていた。
そこで、羽田トンネルを通らない合流車線を新たに建設する計画が立てられた。羽田空港入口から首都高に入る車は、橋で海老取川を渡り、その先で本線に合流させるというプランだ。そのために架けられることになったのが、羽田可動橋である。
新たに架けられる橋の位置は東京湾の河口に近く、川上に造船所などがあったため、大型船舶の航行を妨げてはいけない。こうした場合、通常であれば橋を高い位置に架けるのだが、現場は羽田空港のすぐ近くであるため建築制限があり、高くすることもできなかった。そこで、可動橋の出番となったわけだ。


