昨年12月4日、米国のブルームバーグ通信が、三菱商事が銅の不正取引で138億円の損失を計上したと報道した。この取引に関与していた疑惑で、三菱商事から刑事告訴された中国人トレーダーが現在、日本にいることがジャーナリスト・西﨑伸彦氏の取材でわかった。
三菱商事は中国国内の金属取引から撤退…渦中の中国人トレーダーは日本に“潜伏”
トレーダーの名は、ゴン・ファユン(龔華雍)。上海に拠点を置く三菱商事の傘下企業「三菱商事RtMチャイナ」の社員だったが、銅取引について重大な背任行為が認められたことから懲戒解雇処分を受け、すでに中国の公安当局に刑事告訴されているという。
三菱商事の関係者が明かす。
「彼は現地の銅取引の業界では知られた存在でしたが、昨夏から家族とともに中国を離れているようです。三菱商事は、昨年11月に公表した7月―9月期連結決算で、すでに『中国関連取引損失』として138億円を計上していたが、その内情の一端が報じられた形でした」
この問題を受け、三菱商事は中国国内における金属取引からの撤退を決め、三菱商事RtMチャイナ閉鎖に動く異例の措置をとった。こうした三菱商事側の一気呵成の事後処理によって、株主総会でも問題視されることはなく、ゴン氏の行方とともに人の記憶からも消え去っていこうとしていた。
ところが、その“逃亡劇”は、思わぬ形で彼の“別の貌”を炙り出すことになった。彼は家族とともに日本に“潜伏”していたのだ。
ゴン氏側に取材を申し入れたところ、後日、彼の依頼を受けたという弁護士から連絡があった。10月末、ゴン氏は大阪にある弁護士事務所で取材に応じた。黒いジャケットにジーパン姿。眼鏡をかけ、黒いマスクをしていた――。
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11月12日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および13日(木)発売の「週刊文春」では、ゴン氏の日本での暮らしぶりや経済活動、そして本人への直撃取材の結果などを詳しく報じている。
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