塚原さん自身も、活動を続けることの困難さを理解している。

「自分のためにもこういう表立った活動や、告発をしています。それを途中でやめたくなったとしても悪いことではないので、逃げたい時に逃げましょうって」

 

「辛くなってしまう方も…」

 最も印象的だったのは、支援者の声のかけ方に対する塚原さんの率直な提言だった。

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「よく言われるのは、たえさんありがとうございます。発信してくれてありがとうございますって言っていただけるんですけど」と前置きした上で、こう続ける。

「他の被害者の方たちは、がんばってくださいって言われると、それがプレッシャーになっちゃうこともあるし、もうこれ以上何をがんばればいいのって思うこともある、と聞きます。生きてるだけで十分ですよっていう状態なんですが、そこにがんばってください、ありがとうございますとかって言われると、辛くなってしまう方もいらっしゃるのも事実」

 では、どのような声かけが望ましいのか。塚原さんは具体的な提案をした。

「がんばってください、というだけじゃなく、ではどうやったら助けられますか? 私たちに何ができますか? ということを考えてほしい」

 ジャーナリストの秋山千佳さんが「他人事としてがんばってくださいじゃなくて、一緒にがんばりましょう、ということですね」と確認すると、塚原さんは深く頷いた。

「一人じゃないよ」と伝えたい

 塚原さんの活動の根底にあるのは、被害者同士の関係性だ。相談を受ける際も、「私はカウンセラーでもないし、ただ一般の53歳の被害当事者のおばちゃんであって、そんな偉い人じゃない。相手は相談者さんではなく、『仲間だと思ってるよ』といつも言います」。

「上下関係ができてしまうじゃないですか。同じ被害者であり、同じように苦しんでるし、今でもまだ泣くよ、そういう仲間だよということをいつもお伝えしてる」

 

 そして必ず伝える言葉がある。「『一人じゃないよ』というのは必ず伝えるようにしています。孤独感というのが本当に嫌なので。私自身が身をもって知っていることなので、それだけは伝えてあげたくて」。

 番組の最後、塚原さんは視聴者に向けてメッセージを送った。「一人じゃないです」。

 性被害者への支援は、単なる励ましや感謝の言葉ではなく、具体的な行動と継続的な関わりを求めている。塚原さんの訴えは、真の支援とは何かを問いかけている。

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