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“新幹線なのに在来線”のナゾ
この10分にも満たない新幹線のナゾの旅。これは、新幹線であって新幹線でないようなものだ。というのも、もともとこの路線は新幹線の車両基地への引き込み線だったのだ。
ただ、毎日回送運転だけをしていてももったいない。そんなわけで、1990年に旅客駅業を開始し、博多南線博多南駅が開業したのだ。
こうした経緯がゆえ、博多~博多南間は新幹線車両しか走らないのに扱いとしては“在来線”ということになっている。特急料金も在来線仕様で、乗車券とあわせて330円ポッキリだ。
これほど安く新幹線、それもONE PIECE新幹線に乗れるのだから、なかなかレアな体験といっていい。となれば、車内にはこのレア体験を楽しむ人ばかり……。と思いきや、案外そうでもないようだ。
博多南線に乗っているお客はだいたいがありふれた、といったらアレですが、スマホを眺めて時間を潰すような、ごく普通のお客ばかりだ。
1面1線、幅の狭いホームの博多南駅に到着すると、彼らは脇目もふらずに改札を抜け、町の中へと消えてゆく。
どうやら、この町では博多南線、珍しいレア路線でもなんでもなく、普通の通勤通学路線として使われているらしい。


