新幹線は、どこまでも繋がっている。東海道新幹線は新大阪駅からそのまま山陽新幹線に直通するし、山陽新幹線もまた博多駅から九州新幹線へと続いてゆく。
細かいことをいえば直通列車が東京から鹿児島まで駆け抜けているわけではないのだが、それでも線路は途切れていない。
なんて、どうでもいいことを博多駅で考えた。博多駅からは東京行きに新大阪行き、そして鹿児島中央行きの新幹線がひっきりなしに出ている。東京より西側にある主要都市には、博多駅から新幹線でものの数時間で行くことができるのだ。
そんな中、博多駅で気になる行き先の列車があった。「博多南行き」。え、いったいこれはどこなんでしょうか……。
ナゾの駅「博多南」には何がある?
博多南というからには、少なくとも博多駅の南方、それほど離れていないところにあることは間違いないだろう。が、新幹線の路線図を穴のあくほど眺めてもそんな駅はない。九州新幹線では、博多駅の次がもう佐賀県の新鳥栖駅である。
博多南駅とは、いったい。まあいくらなんでも別世界に連れていかれちゃう、なんてことはないはずなので、博多南行きの新幹線に乗ってみることにした。
たまたまなのか、そういう設定になっているのか、博多駅のホームに停まっていた博多南行き新幹線はONE PIECEのラッピングを施した車両だった。お客はまばらで、1両に10人程度といったところだろうか。
そして新幹線が動きはじめると、その高速運転の本領を発揮する間もなく、ものの10分足らずで博多南駅に到着した。
幻でも何でもなくて、博多南駅はちゃんと実在する駅だった。

