「禁断の恋」の始まり
――金さんは裁判で、1990年に死刑が確定しますが、すぐに、盧泰愚(ノテウ)大統領の特別赦免(特赦)が出ます。“北の闇を語る生き証人”として生かされたのです。この決定で自由の身になったのですか?
金 いえ。自由な外出は禁止されました。安企部の施設で女性捜査官と暮らしながら、安企部で北朝鮮の内情の報告や翻訳、講演活動といった仕事をしました。
その頃、旦那さんは引き続き私の担当をしていました。旦那さんを含め、私の周りにいる捜査官は、休暇の間は自由に過ごせるのでうらやましく思っていました。
そんなとき、ある休日明けに旦那さんが「自分たちだけ休暇を取り、遊んですまないね」と言って、お土産をくれたのです。そんな人は今までいませんでした。この人は気持ちが温かいと思いました。このことで、ほかの人とは違う目で彼を見るようになりました。
――「禁断の恋」の始まりですね。
金 ええ。そこで、私から旦那さんと同僚の男性捜査官に声をかけて、3人で食事をすることになりました。でも、その同僚が、気を利かせてレストランに現れず、旦那さんと2人きりで食事をすることになったのです。私には親友も友達もいない。心を開ける人がいなかった。旦那さんは、最初から私のことを一番よく知っていた、一番信頼できる人になっていたのです。事件から8年後の1995年のことです。
――彼が初恋の人ですか?
金 ええ。
〈捜査官と恋に落ちた金賢姫は、政府監視下でいかにして愛を深めたのか?この続きで明かされています〉
※本記事の全文(約5400字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(金賢姫「捜査官との『禁断の恋』」)。全文では下記の内容をご覧いただけます。
・なかなか下りなかった結婚許可
・夫の死をきっかけに子供に告白
・「愛の不時着」の感想は?
