デートをオンラインで済ませる2つの理由
デートと言えば、カップルが腕を組んでカフェへ行ったり、テーマパークへ出かけたりするイメージがあるかもしれません。今は違います。子どもたちの中にはデートを対面でするのではなく、ネット上で完結させようとする子が一定数いるのです。
SNSでその日の出来事を伝え合う、同じ動画を見て感想をチャットで伝え合う、お互いが別々に訪れたカフェの画像を交換する、それぞれの自宅にいながら1つのオンラインゲームを楽しむといったことです。
彼らがデートをオンラインで済ませようとするのは、大きく分けて2つの理由があります。1つ目が、彼らが重視する“コスパ”“タイパ”です。対面でのデートには、それなりにお金がかかりますし、時間もかかります。
その点、すべてをオンラインにしてしまえば、費用も時間も少なくて済みますし、おごる必要もありません。
2つ目が、精神面で楽だということです。対面で会えば、会話の中で沈黙があったり、道に迷ったり、乗り物酔いをしたり、行儀作法を間違ったりといったことが起こります。しかし、オンライン・デートならこうしたことを避けられるので、恥ずかしい思いをしなくていい。それが彼らにとっては気楽で、便利なのです。
恋人とは名ばかりで、相手のことを何もわかっていない
親世代の人々は、「それで十分なんですか?」と言いたくなるかもしれません。もっともなことです。
いくら相手のSNSのアカウントを見たところで、そこから得られる情報は限定的、かつ一面的です。画像でも体験でも、当人が不特定多数の人に対して見せたいと思うものしかアップされていません。
また日に何十回もSNSでメッセージのやりとりをしたとしても、短文やスタンプでは伝えられる情報量に限りがあります。2~3時間SNSでやりとりをして得られる情報より、15分対面で話し合った方が、情報量としてははるかに多いでしょう。さらに言えば、対面のデートで勇気を振り絞って「好き」と言うのと、SNSでハートマークのスタンプを送るのとでは、重さがまったく異なります。
こうなると、当人たちはお互いのことを理解しているつもりであっても、ほんの一部しかわかっていなかったり、信頼関係が十分に築けていなかったりします。もっと言ってしまえば、彼らはSNSのように自分の見せたい部分しか見せていませんし、相手の見たい部分しか見ていないのです。つまり、恋人とは名ばかりで、相手のことを何もわかっていないのです。
