男の子が「誘われている」と勘違いし、その気になってキスを…
こうしたカップルが、いきなり対面でデートをしたらどうなるでしょうか。
お互いのことを深いレベルでわかり合っていないがゆえに、些細なことが原因で衝突するのです。その1つの形がデートDVなのです。
たとえば、ネットで出会った高校生のカップルがいたとしましょう。SNSでやりとりする中で、女の子が水着姿などの自分の色っぽい画像を送ったり、好きな人とは早くキスをしたいといった話をしたりする。女の子の方は大した意味もなく書き込んでいるだけかもしれませんが、男の子は「誘われている」と勘違いします。
そんな誤解が生じたまま、対面でデートをすれば、男の子は勝手にその気になってキスをしようとします。一方、女の子はそんなつもりがないので断る。すると、男の子は「この前のメッセージは何だったんだよ! 俺のことだましたのかよ!」と怒りだして、口汚く罵倒する。こうなれば立派なデートDVです。
あるいは、男の子の側がSNSでリッチな側面ばかり見せていたとしましょう。何万円のものを買ったとか、後輩にあれもこれもおごったとか、昔元カノにいくらのプレゼントをしたといったことです。
男の子にしてみれば、ちょっとした格好つけで話を大きくしているだけのことかもしれません。しかし、恋人の女の子がそれを見て、自分にもたくさんの高級なプレゼントをくれるものだと考え、デートの時に「これ買って」「あれがほしい」と頼む。その額が彼のお小遣いを大きく上回れば、経済的搾取のDVとなります。
必要なのは、タイパやコスパとは反対のこと
恋愛関係を良好なものにするには、お互いの良いところも悪いところも受け入れた上で、どれだけ思いやりの心を持てるかが大事です。それには、タイパやコスパとは反対に、多少面倒で都合の悪いことであっても相手と共有し、お互いに話し合って溝を少しずつ埋めていくしかありません。
同じことは、友人関係にだって、夫婦関係にだって当てはまります。それを煩わしいことと捉えて、SNSによってすっ飛ばせば、お互いを深く理解しないまま、些細なことで傷つけ合うようになるのは仕方のないことなのです。
今の時代、そこを理解できている子どもが、どれだけいるでしょうか。