マイケルによれば、失踪当日の朝、いつものようにアリッサを車で学校に送り届けた後、昼ごろ再び迎えに行き一緒にランチを食べたのだという。このとき彼女は「もっと自由がほしい」と言い親子間で口論になったそうだ。その後、2人して自宅に戻ってきたものの、口論はまだ続き、機嫌を悪くしたアリッサが部屋に閉じこもったためサラを迎えに行き、幾つかの用事を済ませてから帰宅したという。

 対し、サラはその日、父が迎えに来るのが普段より遅れたので、学校の近くに住む友人宅で時間を潰し、連絡を受けたマイケルがそこに迎えに来たそうだ。明らかに証言は食い違うのに、警察がこれを気に留めることはなかった。

「娘思いの父親」だと思いきや…

 マイケルは自分の車のフロントガラスにアリッサ捜索のビラを貼り情報提供を求めたり、カリフォルニアに飛び彼女を探し回った。傍目には、まさに娘思いの父親だったが、周囲の大半はアリッサは自ら家出したものと思っていた。しかし、彼女の失踪が何ヶ月、何年も続くと、人々はしだいに疑問を持ち始める。束縛の強い父から逃れるため家を出たとしても、仲の良かった妹サラや高校の友人、ボーイフレンドに長期間、一切連絡をしないことなどありえるだろうか。

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 しかも、アリッサは自宅に私物の大半を残しており、その後、自分の口座に入っていた金を下ろした形跡もない。いったい彼女はどこに消えてしまったのか。

 事態が動くのは失踪から5年後の2006年。刑務所に服役していた男が、看守にアリッサ殺害を告白した。男はアリッサが行方不明になってから2週間後の2001年5月に別の女性を殺した罪で、刑務所に収監されていたのだが、所内で古い新聞を見てアリッサの顔写真を発見。当時、自分が手にかけた少女であると看守に打ち明けたのだ。