2001年、17歳のアリッサ・ターニーが忽然と姿を消した。残された手紙や私物は、単なる家出とは思えない状況を物語る。父親は「娘思い」に見えたが、監視カメラや周囲の証言から性的暴行の疑惑が浮上。失踪から数年後、事件の真相を巡る捜査と家族の混乱が明らかになり、衝撃の展開を迎える。
突然失踪した人々、迷宮入り殺人、謎だらけの不審死など、今なお真相が闇に包まれた古今東西81のコールドケースを扱った文庫『読んで震えろ! 世界の未解決ミステリー』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)
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17歳の少女が「突然の失踪」
後に行方不明となるアリッサ・ターニーは1984年、米アリゾナ州フェニックスで生まれた。ほどなく母親が離婚。1987年、母親は元保安官のマイケル・ターニー(当時39歳)と再婚し、翌年に異父妹のサラが誕生。4年後の1992年に実母が肺がんで死亡し、以降姉妹はマイケルに育てられることになる。
2001年、17歳になったアリッサはファーストフード店でアルバイトし、ボーイフレンドもいるごく普通の高校生だった。ただ、マイケルは非常に束縛的で、持ち物検査をしたり、誰と電話しているのかを確認したり、時には彼女のバイト先の近くに車を停め仕事ぶりを観察することもあったという。
同年5月17日夜、父と外出していたサラが自宅に戻ると、アリッサの姿はなく自室が荒らされていた。何があったのだろう。アリッサが姉の携帯に電話をかけると、部屋の中で着信音が鳴った。携帯電話は机の上に置きっぱなしで、その隣にメモが残されていた。
「お父さんとサラへ。今朝学校に送ってもらったとき、私はカリフォルニアに行くことを決めました。サラ、以前私に『いなくなってほしい』って言ったよね。これであなたの願いが叶うよ。このために今までアルバイトでお金を貯めていたの。お父さん、300ドルだけもらって行くね。アリッサより」
筆跡は間違いなくアリッサのもので、彼女が常日頃からカリフォルニアの叔母の家で暮らしたいと言っていたのも確かだ。が、数日が経過してもアリッサが叔母宅に現れることはなく、そのまま行方不明となる。マイケルは警察に失踪届を提出するも、手紙の内容から家出の可能性が高いと取り合ってもらえなかった。
