インフレの放置は国民の生活を苦しめる
インフレの放置は国民の生活をさらに苦しめることになるのは自明の理なのだ。ローン金利にばかり目が行っているローン債務者はこのまま低金利が続くことを願うのかもしれないが、国の政策として、どこまでこの状況を続けていけるのかいささか危ぶまれる。
そうした意味において、高市政権は結局ある程度の金利の引き上げを容認するのではないかとみている。12月18日、19日に年内最後の金融政策決定会合が開催されるが、ここでの利上げの可能性は高くなったのではないだろうか。
変動金利型住宅ローン利用者にはバッドニュースかもしれないが、日銀はあなたの抱えているローンのために仕事をしているわけではない。さらに考えなくてはならないのが、金利が上昇していくことは活況が続く不動産マーケットに冷や水を浴びせることになることだ。
「どれだけの利回りを得られるか」不動産投資の基本
現在都心のマンションマーケットは投資マネーに席巻されている。売買契約を締結しても実際には居住せずに、引き渡しと同時に転売する、最近では引渡し前に転売する事例も後を絶たない。いずれもキャピタルゲイン(転売益)のみを狙う投資だ。
だが、不動産投資の基本は、購入する不動産がどれだけの利回り(期待利回り)を得られるかという観点から入る。仮に東京都心のマンションを期待利回り3%で取得してよい、つまり価格は適正だと判断する根拠は次のようなものだ。
3%を分解して、そのうちの1%はほとんどリスクのないレート(これをリスクフリーレートという)、例えば10年物国債利回りとする。そのうえに、2%分のリスクプレミアムを設定し、期待利回り3%が形成されている。東京なら3.0%でよくても大阪なら4.0%、福岡なら4.5%といったように期待利回りは地域や投資する物件(規模や仕様など)によっても異なってくる。