「これが読まれるころには、俺はすべての殺しの罪を負って死んでいる。奴らはキャリルを電気椅子送りにはできない」
「チャールズは9人殺した。キャリルは2人殺した」
この落書きは、翌日の朝刊のトップを飾った。対してキャリルはチャールズの嘘だと主張、彼に従ったのは家族を人質にしていると脅されたからだと弁明した。彼女の言い分は筋が通っていた。前述したように、彼女は自分の家族が殺された後、「全員がインフルエンザ。立ち去るべし。ミス・バートレット」と自身で張り紙を記している。
当時、キャリルは実父のフュゲート姓を名乗っていたので「ミス・バートレット」ではなく、彼女の母親も「ミセス・バートレット」で、この署名に該当しない。となれば、残るはベティだけだが、2歳の赤ん坊に字が書けないことは明らか。つまり、この張り紙は外部に身の危険を知らせるためのメッセージだったとも読み取れる。そもそも、キャリルは最後に保安官にチャールズのことを告げ、助けを求めているのだ。
無罪を求めたキャリルだったが…
しかし、キャリルの主張には矛盾点もある。家族3人が殺されたのはチャールズが家を訪ねてきた当日。死んだ者を人質に脅されたとするのは辻褄が合わない。裁判が始まると、チャールズも彼女の裏切りに憤り、キャリルが家族殺害の間、寝そべってテレビを見ていたこと、犠牲者ロバートの恋人キャロルに自分(チャールズ)が興奮したことに嫉妬し、刺殺したと証言。
実際、キャロルの遺体はジーンズとパンツを足首まで下ろされ、腹部と陰部を繰り返し刺された陰惨なもので、そこには激しい憎悪が感じられた。さらに、チャールズはキャリルが豪邸のメイド、リリアンも殺害したと供述。対してキャリルは最後まで自分は全ての殺人に関与しておらず、無罪であると主張し続けた。
