1950年代、アメリカ中を震撼させた“殺人カップル”、チャールズ・スタークウェザー(当時19)とキャリル・フュゲート(同14)。キャリルは無実を主張し終身刑後に仮釈放。一方、10人を殺害し若者のカリスマとなったチャールズは……。
なぜ、同じ逃避行を共にした2人の人生に差がついたのか? 文庫『世界の殺人カップル』(鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の3回目/最初から読む)
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10人を殺害した19歳少年の「見苦しい供述」
取り調べで、チャールズはキャリルの家族殺しは認めたものの正当防衛を主張した。曰く、1月21日にキャリル宅を訪ねたところ、義父のマリオンに「おまえなんかと付き合う娘はここにはいない」となじられた。マリオンはしだいに激昂しハンマーで殴りかかってきたため、思わず彼を射殺。この後、キャリルの母ベルダにナイフで刺されそうになったため、自分の身を守るため彼女を撃った。泣き出した娘ベルダに反射的にナイフを投げたものの、その一撃では死なず、仕方なくライフルの柄で頭を潰した──。
見苦しい供述を行う一方、チャールズは一貫してキャリルの関与を否定した。全ては自分の犯行で彼女は一切関係ない。チャールズは心底、キャリルのことを愛していた。が、ほどなく彼は警察から衝撃的な言葉を聞かされる。キャリルが「自分はチャールズの恋人ではなく人質だったと証言している」というのだ。チャールズの心に絶望と怒りが渦巻く。
時を同じくして、チャールズが独房の壁に次のような文言を記していたのを新聞記者が見つける。
