「トータルバランスが抜群にいい」と評価した森保ジャパンのディフェンダーは?

――この2試合は、5得点、失点ゼロでした。守備が安定していたと思いますが、目立った選手はいますか。

 鈴木(淳之介)は、すごく良かったですね。彼は、ディフェンスの選手としてのトータルバランスが抜群にいいんですよ。スピードがあるし、対人の強さ、高さもある。また、周囲との連携もスムーズだし、ポジショニングも良いので、安定感があるんです。

 たぶん、鈴木の台頭は、チームにとって最大のプラスでしょう。このままいけばW杯でのレギュラーはもちろん、W杯後のチームの主力になっていくんじゃないかな。そのくらい能力が高い選手だと思います。

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――10月シリーズから代表に復帰した谷口(彰悟)選手も良かったですね。

 谷口は、経験値が高い選手だから復帰しても何の違和感もなかった。うまくポジションを取り、バランスを保ち、ラインの上下動も緻密にしていた。相手が攻撃してきた際には周囲に指示しながら味方をうまく使ったり、先を読んでプレーしていたので、それこそ経験値だなと思いましたね。

 ただ、彼の場合、スピードのある相手だと対応が少し後手に回ってしまう。うまく先を読んで良いポジションを取れるのが彼の良さなので、強い相手とやった時、どのくらい対応できるか、ですね。

――最終ラインの生存競争は苛烈になってきたという感じですか。

 これまでは冨安(健洋)や伊藤(洋輝)が怪我で抜けると「最終ラインは大丈夫か」と言われていたけど、今はそういう不安がまったくなくなりました。たぶん、彼らが代表に戻ってきても居場所があるかというと、今はないと思う。そのくらいセンターバックの層が厚くなった。

 正直、鈴木を始め、谷口、渡辺(剛)、板倉(滉)らは頭ひとつ抜けているので、ここに食い込んでくるのは、簡単ではないと思います。

©時事通信社

「もっとも評価を高めた」「ファーストチョイス」と評価した選手は…

――この2試合でもっとも評価を高めた選手は誰になりますか。

 佐野(海舟)でしょう。ボランチとして今、遠藤(航)を超えて、ファーストチョイスになっていると思います。彼の良さは、まず危険察知能力の高さ。攻撃をしながらも危ないと思ったり、攻守の切り替えのところで一番先に守備に行く。

 中盤にボールが入ると必ずプレッシャーにいくし、ボール奪取の能力が高い。それができる体の強さもある。でも、佐野の本当の良さは、ボールを奪った後のプレーにあるんです。

――具体的に言うと、どういうプレーでしょうか。

 例えば、遠藤が良い時は、読みが働いて潰してボールを奪い、それで縦パスをつけたり、サイドチェンジのパスを出したり、守備とパスのうまさが高く評価されてきたと思うんです。でも、奪ったボールをそのまま前に持ち出していくプレーがなかった。

 佐野は、それができる選手。奪ってパスも出せるし、自分で保持して前にも行ける。その推進力は彼にしかないものだし、それがチームに絶大な効果を及ぼしている。簡単にいうと遠藤の守備の強さと、守田(英正)の攻撃力をうまく組み合わせたようなバイタリティ溢れる選手です。