弁護人(右)の質問に答える山上徹也被告(手前)=20日、奈良市(イラスト・松元悠氏)

 「全て事実」と認めた初公判から3週間余り。法廷で母親の謝罪や、妹の涙の訴えを聞いてきた山上徹也被告(45)は20日、再び証言台に立った。冒頭、「大変ご迷惑をおかけしている」と謝罪の言葉を口にし、過酷な幼少期を淡々と振り返った。

 午後3時45分すぎ、黒色のスエットとカーキ色のズボンに身を包んだ山上被告は、証言台の前に立つと一礼し、着席。裁判長から黙秘権を告知され、時折うなずいた後、掛けていた眼鏡を外した。初公判での罪状認否とは一転し、はっきりとした声で一問ずつかみしめるように質問に答え始めた。

 それによると、同被告が中学2年のとき、母親の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)入信が発覚。祖父は「いずれ全て財産を持っていってしまう」と脱会を説得したが、母親が聞き入れることはなく、激高した祖父が包丁を持ち出したこともあった。家族内のいさかいを目にし、「どうしていいか分からなかった」という。

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 高校時代に応援団に入部した理由を問われると、「自分の家庭環境が理不尽に思え、耐える訓練になるのではないかと思った」と説明。高校の卒業アルバムの将来の夢には「石ころ」と書いたといい、「ろくな事がないだろうと思った」と振り返った。

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