敬祐さんは言葉で会話することはできないが、母親の手のひらに置かれた人差し指のわずかな動きで意思を伝えようとする。「指談(ゆびだん)」と呼ばれるこの伝達手段で、容子さんは敬祐さんの意思を読み取っている。「訴えたいときは歯ぎしりで訴える」(容子さん)という。

敬祐さんの母 大徳容子さん:
訴えたいときは歯ぎしりで訴える。その時に何?と聞くと、じゃ暑いって書いて。あ、つ、い。次寒いって書いてさ、む、い。

 

この日、敬祐さんは大好きだった野球をしていた頃のビデオを久しぶりに鑑賞した。敬祐さんがバッターボックスに入っているシーンがあった。

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敬祐さんの母 大徳容子さん:
あら敬祐じゃない?敬祐じゃない。分かってた?そうやね。潤んでますよ。懐かしいね。悔しいって言ってますよ。

 

容子さんは、敬祐さんがビデオを見て「悔しい」という意思表示をしたと話す。

長年の介護が実を結んだのか、敬祐さんには最近、回復の兆しが見えてきているという。少しずつ口から食事をできるようになっているとのことだ。

 

敬祐さんの母 大徳容子さん:
指談を通して、今日は寒いとか言っていたので、そうやってしゃべれはしないけれども伝えようとはしている、分かっていると分かってほしい。意識がないんじゃない、手立てがないということ。お父さんお母さんって呼んでほしい。

 

「伝えようとしている」

遷延性意識障害の中には敬祐さんのように言葉を持っていることを知ってほしい。敬祐さんの両親はそう願っている。

(テレビ宮崎)

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