19歳のとき、アルバイト中の事故で左目をほぼ失明した、かたのめいさん。現在は会社員として働く傍ら、「片目シンガー」として活動し、今年8月にはメジャーデビュー曲「Croissant(クロワッサン)~欠けた世界で気づけたもの~」をリリースした。

 そんなかたのめいさんに、事故が起こった当時の状況や、事故後の左目の状態、医者から「左目は元に戻らない」と宣告されたときの心境などを聞いた。(全3回の1回目/2回目に続く

かたのめいさん ©三宅史郎/文藝春秋

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居酒屋のアルバイト先で割れたグラスが左目に…

――専門学校1年生の時に怪我をされたんですよね。当時はどんな生活をされていたんですか。

かたのめいさん(以下、めい) もうすぐ2年生になる頃で、週3~4回、学校終わりにアルバイトをしてました。留学費用や学費を貯めたかったのと、洋服にお金を使いたかったので、がっつり働いてましたね。

――アルバイト先で怪我をしてしまったんですよね。

めい 新しく居酒屋のアルバイトを始めて、入店して3日目の夜でした。終電間近で焦っていたのもありますし、私が性格的におっちょこちょいっていうのもあって……掘りごたつの席で、グラスを持ったまま足を踏み外してしまって。

 バランスを崩したときに、顔と壁の間にグラスを挟むような状態になったんです。その衝撃でグラスが割れて左目に刺さりました。さらに、壁にぶつかった衝撃で掘りごたつの中に落ちて、「何が起こったんだろう」って感じでした。

専門学校時代のかたのめいさん(写真=本人提供)

左目に光を当てられても見えなかった

――グラスが刺さったあと、左目はどうなったんですか。

めい 左目は痛すぎて開かないし、眉下あたりから生ぬるい血がたくさん流れていたので、「結構大きい怪我をしちゃったんじゃないか」って。

 そのあと、私が倒れた音に気づいた友達が「めいちゃんどうしたの」って様子を見に来て、私の姿を見た瞬間「やばい、誰か!」ってすぐに部屋を飛び出ていきました。