「顔に傷があるから、恋愛も無理だ」友達と距離を取り、新しい出会いの場にも行かなくなり…

――怪我をしたあと、お友達とも距離を取ったそうですね。

めい そうなんです。友達は着実に前に進んでいるのに、「なんで自分はこうなっちゃったんだろう」と現実を直視できなくて。その時はまだ、怪我をした自分を受け入れるのが怖かったんです。

 あと、新しい出会いの場に行くのも怖くて。顔に傷があるから、当時は恋愛も無理だと思っていました。

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――アルバイト先には復帰したのでしょうか?

めい はい。怪我をした居酒屋に復帰させてもらいました。バイト先のメンバーは、「おかえり」と快く迎え入れてくれて。勤務中の事故だったので、労災もおりました。

 

――先ほど上手く距離感が掴めなくなったと言ってましたが、アルバイトをするのも大変だったのでは?

めい 復帰後に任されたのは厨房での食器洗いだったのですが、片目が見えなくなってしまったので、最初は大変でした。でも、調理や接客のようにいろんなところに目を配る必要はなかったから、割と早い段階で慣れることができました。

 ずっと厨房にいるから“人の目”も気にならないし、すごくありがたかったです。当時は家と職場を往復する日々で、アルバイトが生きがいになってましたね。

「もう生きたくない。死にたい」と思うほど絶望していたが…

――退院後しばらく落ち込む日々が続く中で、前を向けるようになったきっかけはあったのですか。 

めい 少し遡るんですけど、入院中に病室で「もう元の左目に戻らない」と先生に言われてから、「なんでこうなっちゃったの。もう生きたくない。死にたい」と思うくらい絶望していた時期があったんです。

 その時期に、なぜか分からないんですけど、頭の中にいろんな映像が流れてきて。その中に、教科書の挿絵で見たような、貧困で苦しむ子どもたちの映像があったんですよね。「辛いときに、もっと辛くなるような映像なんて見たくない」と思って振り払おうとしたんですけど、なぜか全然消えてくれなくて。

入院中に「左目は元に戻らない」と宣告された(写真=本人提供)

――その映像に対して、どんな思いを持ったのでしょうか。

めい 「私は片目を失っただけでこんなに絶望しているのに、世界にはもっと辛い状況で苦しんでいる人がたくさんいる」と気づいて。そのときに漠然とですが、「そういう人たちのために、私だからこそできることがあるんじゃないか」と思いました。