「なんで義眼にしないんですか?」と言われるが…義眼にしていない本当の理由

――先日、「片目見えてないのに障害者手帳貰えない」という投稿がSNSでも話題になってましたよね。

めい たまに「なんで義眼にしないんですか?」「かわいそうって思ってもらうために、あえて眼帯にしているんですか」ってコメントをいただくこともあるんですけど、私は障害認定されていないから、義眼を作るのに保険が適用されないんですよ。だから、かなり高額になってしまうんです。

 私が義眼にしていないのは、医師から「あなたの現在の症状だと義眼は適していない」と言われているから、というのも理由のひとつですけど。

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――制度の課題を感じます。

めい 例えば、トラックやタクシーの運転手さんが、事故で片目を失ってしまったら、明らかに仕事に支障が出ると思うんです。でも、片方の視力が一定以上ある場合は、今の制度だと障害年金の受給が認められないケースが多いのが現実です。

 だから、片目失明も障がいとして認定されたらいいのにな、と思います。社会保障や障害認定については私もまだまだ勉強中ですが、今後はそういう発信もしていきたいなと思っています。

 

私たち「当事者」も変わる必要がある

――誰もが生きやすい社会にするためには、どんな変化が必要だと思いますか。

めい 「多様性の時代」って言われていますけど、芸能界にわかりやすい障がいのある方ってほとんどいないし、たまにテレビに障がい者が出ると、驚いてしまう人もいると思います。でもそれって、メディアも含めて障がいと接する機会が少ないからだと思うんです。

 海外だとインクルーシブ教育が進んでいるところもあるじゃないですか。日本でも、子どもの頃からいろんな特徴を持つ人と関わる機会があれば、何か変わってくるんじゃないかって。そのためには、社会だけでなく私たち「当事者」も変わる必要があるなと思っています。

――当事者側はどのように変わる必要があると思いますか?

めい 当事者には「自己開示」が必要なんじゃないかなと考えています。私も今の事務所に入るまでは、なるべく目立たないように、自分の障がいのこともなるべく話さないようにしていて。それで周りの人も私のことを“腫れ物扱い”して、話を聞きにくかったのかなと。

 でも、SNSで発信するようになってから周りが変わってきたなと実感しているんです。だから、当事者が生きやすいと思える社会にするためには、周りとコミュニケーションを取って、自分のことをわかってもらう努力も必要なんじゃないかな、と思っています。

 

撮影=三宅史郎/文藝春秋

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 以下のリンクから、かたのめいさんが左目を怪我した直後の壮絶な状況や、左目の視力を失った後の苦労、絶望から立ち直れた経緯などをお読みいただけます。

INFORMATION

曲名:Croissant(クロワッサン)
  ~ 欠けた世界で気づけたもの ~
リリース日:2025年8月20日
配信情報:Apple Music / Spotify / YouTube Music / Amazon Musicなど
ダウンロード:https://mei-katano.lnk.to/Croissant
公式ホームページ:
https://www.teichiku.co.jp/

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