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来季はクロマティを超える来日8年目のシーズンへ

 今季、7月末の左膝痛での登録抹消後は、テレビで試合観戦をしながら一喜一憂。自身のツイッターからチームメイトたちに必死にエールを送り、「9回二死でテレビ中継終了して最後を見逃した。ひどいよ!」なんつって一昔前の熱烈巨人ファンおじさんのようなツイートを連発して楽しませてくれたマシソン(好物はラーメンとホルモン)。27日には「左膝の手術を受けるためにシカゴへ向かう」と報告。「目標は2019年の春季キャンプに100パーセントの状態で戻ってくること」と決意表明した。

 なお来季在籍8年目となれば、巨人外国人投手として史上最長年数となる。野手ではあのみんな大好きクロマティでさえ、在籍7年だ。入れ替わりが激しい球界において、8年という時間は長い。手元にあるマシソンのキャリアを追った資料ファイル(新聞や雑誌の該当記事を片っ端からスクラップしたもの)を見返すと、それはそのまま近年の巨人の球団史である。

 2013年に2年連続35度目のリーグ優勝を決めた東京ドームの広島戦では、1点リードの9回表に懐かしの“スコット鉄太朗”揃い踏みで、山口鉄也、マシソン、西村健太朗が1人1殺リレー登板の有終の美。最近の巨人では考えられない余裕を感じさせる采配に、日刊スポーツ発明の明るく能天気なユニット名だが、それくらい当時の原巨人は強かった。だが、あれから5年経った2018年は山口鉄も西村も1軍マウンドには上がっていない。そう言えば、マニー・アコスタも消えちまった。そして誰もいなくなり、マシソンだけが投げまくっていたわけだ。

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来季在籍8年目となれば、巨人外国人投手として史上最長年数となるマシソン ©文藝春秋

愛息のV1ベイビーもすくすくと日本で成長

 7年間で通算393登板。昨年の8月31日には外国人投手初の通算150ホールドを達成。その様子を報じるスポーツ報知掲載のマシソンのコメントが「東京でナイターの日は、息子(長男レーン君・4歳)をスイミングスクールに連れていってから球場に行く。だいぶ泳ぎがうまくなったよ」で、いいパパだなぁと和んでいたら、どこか聞き覚えのある名前だと思い出し、ファイルのページを来日1年目の2012年に戻す。

 情報の点が線で繋がるこの感じ。調べてみると、やはり背番号20が右肘痛からの1軍復帰を目指していた、12年9月21日の巨人リーグ優勝決定の瞬間から5時間後に誕生したのが、長男レーン君である。そうか、あのV1ベイビーがすくすく育って、元気に水泳をやっているのか。そりゃあ俺らも年取るよ……って、ファンがほとんど親戚のおっちゃん気分になってしまうほど、マシソンは巨人というチームに、日本という国に馴染み、我々と長い時間を共有してきたわけだ。

 いなくなってあらためて実感する存在のデカさ。入団以来、充分すぎるほどチームに貢献してくれた。感謝しかない。ふと母ちゃんの手料理を食べたくなるように、時々その剛速球が恋しくなる。シーズン終盤での離脱は残念だが、この先のキャリアを考えたら、とにかく焦らず万全の状態で戻ってきてほしい。

 スコット・マシソン、34歳。来日1年目のキャンプで「代われー」なんて野次られていた男は、巨人在籍8年目となる2019年の春季キャンプでは、「お帰りー!」とチームメイトやファンから笑顔で迎えられることだろう。

 See you baseball freak……

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