「この人が出ていると安心してドラマを見られる」――そんな名バイプレイヤーの系譜に、昨今、野呂佳代が新たに加わった。

野呂佳代さん ©時事通信社

 かつてはバラエティ色が強かった彼女だが、2020年代以降、ドラマへの出演も急増。『メンタル強め美女白川さん』、『SHUT UP』(ともにテレビ東京)、『ブラッシュアップライフ』、『ホットスポット』(ともに日本テレビ)、『アンメット』(フジテレビ)、『西園寺さんは家事をしない』(TBS)、『しあわせな結婚』(テレビ朝日)、『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』(NHK BS)、そして大河ドラマ『光る君へ』(NHK)などで確かな存在感を放っている。現在放送中の『フェイクマミー』(TBS)でも、主人公と敵対的な立場から始まりながら、どこか「根は悪い人ではない」と感じさせる愛嬌を滲ませ、視聴者に安心感を与えている。

2006年にAKB48に加入、同期には大島優子

 野呂の俳優への憧れは筋金入り。幼稚園の頃には『101回目のプロポーズ』に夢中で、雨に濡れる窓を前に浅野温子のマネをしていた。幼い頃から「いつか役者に」という思いを抱いていた。

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 2004年に一度俳優デビューするも、その後は泣かず飛ばず。そんな時、見つけたのが「第二期AKB48追加メンバーオーディション」だった。

 しかし、そのとき、野呂佳代はすでに22歳。新人アイドルとしては高齢といえる。だから、年齢も詐称し、写真も加工して応募した。実際の面接で「誰だよ」という空気が流れるも「この子がスタイル良くなって綺麗になっていく過程があったら面白いよね」という秋元康の意向で合格したという(『あちこちオードリー』2022年1月12日)。そうして2006年にAKB48に加入。同期には、大島優子らがいた。

 加入直後からファンに「ここは肉屋ですか?」などと辛辣な言葉を浴びせられた。一方、大島優子は当時から人気は絶大。握手会では長蛇の列。野呂の前には2人しかいなかった。「その2人が永遠に握手のループをしてくれるので、握手会は常にその2人待ちの状態。でもほかのメンバーのところに並んでいるファンに自分が悲しんでいるところを見せたくなかったので、優子のファンに『今日はどこから来たの?』と声をかけて紛らわせていました。大人のなせる業ですよね」(『クランクイン!』2014年4月25日)と本人が語るように、強靭なメンタルが培われていった。 

 そんな同期の大島優子に“激怒”されたこともある。