「作品のためならば…」過激な濡れ場にも挑戦
NHK連続テレビ小説『まんぷく』、『窮鼠はチーズの夢を見る』(行定勲監督)、『9ボーダー』(TBS系)、『わたしの宝物』(フジテレビ系)など、これまでの出演作を振り返ってみても、どちらかといえば、さとうは人間関係に一石を投じる“嫌な女”を演じることが多い。
特に忘れ難いのは『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)でヒロインの夫・陽一(永山瑛太)と関係を持つ三島結衣花だ。三島は化粧っ気がなく、陽一の前でもためらいなくタバコを吸う。
しかしながら、ほのかな色気を漂わせ、男心をくすぐる食えない女であり、視聴者からあたかも親の仇のように嫌われた。それは誰もが嫌な記憶を掘り起こされるほど、さとうの演技に圧倒的なリアリティがあったことの証左だ。本人もネガティブな感想を好意的に受け止めたようで、のちに「『あんな女が旦那の近くにいたら嫌だ』という声もいただきましたが、それは役者としてうれしいですし、ありがたいなと思いました」(※2)と振り返っている。
また、さとうは『彼女』を皮切りに、『愛なのに』(城定秀夫監督)、『花腐し』(荒井晴彦監督)などの映画では、フルヌードや過激な濡れ場にも体当たりで、かつ臨場感たっぷりに挑んできた。これに関しても、本人は「作品のためならば全然抵抗は無いです」(※3)と語っており、その女優としてのバイタリティには驚かされるばかりだ。
一方で、ここ1年は主人公夫婦を支える映画プロデューサーを好演した『こんばんは、朝山家です。』(テレビ朝日系)、『ばけばけ』とセンセーショナルな役柄よりも等身大の役が続いている。
なみは遊女として客の前では妖艶な雰囲気を纏っているが、ヒロイン・トキ(高石あかり)の前で見せる顔は普通の女の子と変わらない。つらい境遇を感じさせないほど朗らかになみを演じており、トキたちとの掛け合いの中では『無能の鷹』(テレビ朝日系)で開花させたコメディエンヌとしての才能も発揮されている。



