NHK連続テレビ小説『ばけばけ』に、池谷のぶえが登場するだけで何だかホッとする。

 松江の没落士族の娘・小泉セツと外国人の夫、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、怪談を愛する夫婦の何気ない日常を描く本作。池谷が演じるのは、花田旅館を夫・平太(生瀬勝久)とともに切り盛りする女将のツルだ。

池谷のぶえ(朝ドラ『ばけばけ』公式Instagramより)

37歳まで続けた会社員との「ニ足のわらじ」

 花田旅館は来日したヘブン(トミー・バストウ)の最初の滞在場所で、一時期しじみ売りをしていたヒロイン・トキ(髙石あかり)のお得意先でもあり、のちに夫婦となる2人はそこで知り合った。モデルとなったのは、松江大橋のすぐ近くに昭和6年まで存在した富田旅館で、実際に八雲が滞在したという。

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 平太とツルのキャラクターに関しては現存する資料『冨田旅館ニ於ケル小泉八雲先生』(松江市文化協会)を参考にしつつも、制作陣の「こんな人たちがトキの側にいたらいいな」という願いが込められているといい、トキの良き理解者として描かれている(※1)。

 特にツルは、トキが家族に言えないことも打ち明けられる“祖母”のような存在。カラッと明るく、何でも受け止めてくれそうな安心感が半端ではない。

 池谷は、1994年に東洋大学の演劇サークルの仲間と劇団『猫ニャー』を旗揚げ。2004年の解散まで、同劇団の看板俳優を務めていた。もともとプロの女優になるつもりはなく、大学卒業と同時に就職し、37歳までは役者と会社員の二足のわらじだったそうだ。そこから徐々に俳優業が活発になり、一本に絞ることに(※2)。