「ブスすぎて死にたい」と落ち込む地獄のような日々

――放課後やバイトなどを満喫しているJKを見て思うこともありましたか。

SHIBUKI 「本当だったら自分もあのキラキラなチームにいたはずなのに」って、めっちゃ思ってました。周りの子は皆かわいいのに、自分は顔の半分が動かない。過去の自分や周りの子と比べては、「ブスすぎて死にたい」って落ち込んで。地獄のような日々でした。

 あと、入学してすぐはお弁当を1人で食べてたんですね。その後、お昼を誘ってくれるお友だちもいたんですけど、障害のことに触れることはなくて、深く話せるような関係になれなかったんです。

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SHIBUKIさんとパートナー

――障害について聞いてくれたほうが楽ですか。

SHIBUKI めっちゃ楽です。私は何でも聞いてって感じなんですけど、たとえば学校では杖とか歩行器を使っていたので、「歩きにくいの?」とか、そんなんでいいんです。あらたまってかしこまってというより、普段のノリで聞いてくれた方が気持ちも楽だし、嬉しいですね。

 でも、そうはいっても尋ねにくいだろうし、まずは自分のことは自分の口で説明する。それが大事だなと思って、積極的に自分から障害について話すように頑張っていました。

 中学時代はトゲトゲして人にも冷たかったみたいなんですけど、障害を持って自分にできないことが増えたことで、相手の立場や気持ちを汲むことを勉強できたかなと思ってます。

――コミュニケーションの中で、言われて傷ついたことはありますか。 

SHIBUKI 高校の中では、さっき話したようなできないことに直面したり、昔の自分と比べた時の葛藤に苦しんでましたけど、クラスメイトに傷つけられたことはなくて。

 一方で、学校の外では、人の視線がずっと気になってました。自分の顔を「見たくない」より「見られたくない」が強くて、前髪を斜めに切って左目を隠すようにしていました。

見てくる人は「“未知のもの”が気になっちゃうだけ」と気づいて

 

――今ではまったく人目も気にならなくなったそうですが、何かきっかけがあったのでしょうか。

SHIBUKI ある人気YouTuberに影響を受けたことも大きいんですけど、身も蓋もない話でいうと、人目を気にしすぎて疲れちゃったんです(笑)。

 私を見てくる人って、何かそこに悪意があるわけじゃなく、顔面麻痺の人を見たことがなくて、“未知のもの”だから気になって見ちゃうだけなんですよね。

 いっぱい悩んでそういうこともわかったし、気にしても障害が治るわけじゃない。「結局、悩んでも意味ないじゃん」ってところに行き着いて、どうせ見られるなら好きなことをしたい、と思うようになりました。それが大学1年生くらいです。