定期船がなくなるとどうなるのか
和子さん 昨日姉が言ってました。「私たちのお守りだったのに」って。
――でも、新島に来る観光客は年々増えていると聞きましたが……。
和子さん そうなんですよね。また来ますって言ってくれるリピーターの方も多いけどね。
直行さん 結局、運航管理者を置かないといけないから。
――運航管理者?
直行さん 船の運航を管理する責任者ですよ。今まで鹿児島市の支所長がやってくれてたんですけど、定年退職されるからやれる人がいなくなる。
――新しい人を運航管理者に立てることはできなかったんですか?
直行さん 運航管理者をやるのに資格が必要になったから、人材の確保が難しいそうです。それなら人を育成すれば解決することなんですけど、その間はどうするんですかって。切り捨てられたような立場ですよ。
編集部注:2022年4月の知床遊覧船沈没事故を受けて海上運送法が一部改正された。安全対策を強化するために、船舶の運航管理者については試験制度などが導入されている。
――代わりに民間の企業が海上タクシーの運航を始める、という話もあるようですが。
直行さん それはお客さんがいるときだけ。定期船ではない。お客さんがいなくても、行政連絡船はちゃんと港に来るんです。民間であれば、お客さんもおらんのに来るわけがないというのは当然ですよね。それに民間が船を出すと、片道一人2000円くらいもらわないといけない。
和子さん 行政連絡船は100円。赤字も赤字でね、それでもやってくれてたのはわかるんですけどね。
直行さん 定期じゃなくなると、これまでのようにバスとの連携もしにくくなる。
和子さん アクセスが悪くなりますね。桜島をバスが走っていて、これまでは「何時のバスに乗れば何時の連絡船に乗れる」というのがあったから。でも、それは役所も考えてくれてると思うよ、たぶん。
直行さん どうなるのか、その辺の話は全然ありません。もう来年4月から連絡船はなくなるのに。
島の観光業はボランティアに任されてきた
――観光協会などのホームページを見て、私はてっきり市をあげて新島の観光を盛り上げようとしているのかと思いました。
直行さん 完全に僕たちボランティアだけです。もう13年ここで活動をしてるけど、草刈りのガソリン代とか、いろんな経費は自前だったり、応援してくださる方の寄付金でまかなってます。市道も私たちで整備してますよ。
和子さん でも、島の入口にある公民館を使わせてもらってることはありがたいよね。
直行さん クーラーが付いていなくて、夏は暑くて大変です。島のコンクリート護岸も壊れているので「修理してください」って何回もお願いしてますけど、たった二人しか住んでないからか、行政が率先して動いてくれることはありません。

