この場所から生まれる繋がりがある

和子さん 行政というのは、民間でやって成功したら、これもしましょう、あれもしましょうってなるようですよ。そういうところが多いみたい。だから、行政にも前向きに動いてもらえるように、新島観光を軌道に乗せる何かをしていかないと。

 やっぱり、新島の良さを人に知っていただくことですよね。私はお客さんに、ここを心の充電をする場所にしてくださいってお伝えしてます。

民宿兼カフェ「ニューアイランド佐々木」のキッチンに立つ和子さん

――なるほど。実際、今日も平日なのにお客さんが入れ替わり立ち替わり来てますね。

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直行さん さっきも二人来ましたが、男性は高松から、女性は大阪から。(島の)神様に会いに来たということでした。

和子さん ありがたいですよね。今から主人が船で迎えに行く男の子は魚釣りに来るんですけど、こないだその子と話をしていて「耕運機がほしい」って言ったら、もう使わない小型のものがあるから「今度メンテして持っていきますよ」って。

 そういうちょっとした、心があったかくなる人と人との関わりがあって、今都会にないものを味わわせてもらってます。ありがたいなと思う比重が大きいから、ここに住んでると思います。

愛犬りゅう君のお見送り。右端にあるのは訪問客から貰い受けた耕運機だ

 お宮さん(神社)をお守りさせていただいてますけど、それもやっぱり心が荒んでくるとできないと思うんです。そうさせないために、神様が刺激を与えてくださってるんだろうなって。小さいときからお宮さんで遊んでたので、神様は私たちを守ってくださるし、安心させてくれる。ときどきワガママも言える親みたいなものです。

「ここに住めなくなっても、神様の意思だと思ってます」

――これからお二人が歳を重ねられると、島での暮らしがだんだん難しくなってくるかと思います。将来についてはどう思われていますか?

和子さん ここに住めなくなっても、それは私たちの意思じゃなくて、神様の意思だと思ってます。私たちは「なんで?」って思いながら神様に呼ばれてここに来てますから、去るときも同じです。けど、足腰が不自由になったら住めないねっていうのはありますね。船が揺れてフラフラしてたら乗り降りができないんですよ。

直行さん 僕たちが歩くレールは敷かれてる。神様に導かれてるんです。

和子さん 目の前にあるものを必死にクリアしないといけん、それでここまで来てるよね。でも、ほんといい主人です。おかげさまで、この私が二人での生活を続けられてますから。

直行さん かみさんは料理の天才です。

和子さん それでつながっとーとね(笑)。

撮影=林らいみ

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