「19時から自習室にこもり勉強漬け」という超進学校の寮生活
――高校は寮生活だったそうですが、どうでした?
斉藤 おじいちゃん子だったんですけど、ホームシックにはならなかったですね。母が働きに出ていたこともあって、祖母と祖父にとても大事にしてもらってたんです。僕は中学校の頃は怠惰な人間で……朝が苦手でした。今でも苦手ですけど(笑)。遅刻しそうになると祖父が田んぼ道を車を走らせて中学校まで送ってくれてましたね。
――じゃあ寮では起床も大変だったでしょうね。高校時代も野球に明け暮れたんですか?
斉藤 高校では野球部がなかったので、バドミントンをやっていました。その後、また大学で野球に戻るんですけれど。そもそも青雲は、進学校ということもあって、部活動の時間が非常に短く、限られているんですよ。
――そうなると、高校では勉強に打ち込んでいた感じでしょうか。
斉藤 めちゃめちゃ勉強漬けでした。まず、だいたい部活動は1~2時間くらいしか時間が取られていなくて、すごく短い時間にギュっとやる。で、寮でご飯とかお風呂とか身支度を済ませたあと、学年によるんですけど原則、19時までに自習室に入らなきゃならない。寮監の先生が見てるっていう環境で。
――夜に、見守られて自習。本当に学問一筋の学校なんですね。
斉藤 ただ「心技体」の「体」も大事にしている学校で、体育の先生が元自衛官とかスポーツで全国大会に出た人だったりするんです。そして、体育での競技はバレーボールのみ。ほかはマラソンかサーキットトレーニング(筋力トレと有酸素運動を交互に繰り返すトレーニング)。だから「勉学のために体力も重要だけど、部活動には時間を多く割かない」という方針なんですね。
一度は目指した「医者への道のり」を断念
――文武両道の高校なんですね。勉強漬けの高校生活を過ごし、そのあとは一浪して東大へ。斉藤さんは絶対に東大に入りたかったんですか?
斉藤 そうですね。今振り返ると父に影響されることが多くて。子どもの頃から、父に「美容整形外科医は儲かるぞ!」って言われてて(笑)。青雲には当初、医者志望のつもりで入学しました。
――大学の医学部を目指していたんですか?
斉藤 はい。当時は九州大学の医学部がいいなと思っていたんです。でも高校生で進路を真剣に考えるタイミングで、たまたま体調を崩して入院したことがあって。そうしたら病院内がすごく暗かったんです。節電していたんだろうけど。それで「こういう環境でずっと働きたくないなあ」って感じたのもあり、迷いが生じて。
でも正直、一番大きかったのは「プロ野球選手になりたい」って気持ちがあったからですね。東大に行けば「六大学野球」っていう舞台がある。すごく野球をやりたい、かつ「人生の選択肢をなるべく多く残したい」っていう条件に合致していたのが東大という選択だった。東大進学を選ぶ理由として「なるたけ多くの選択肢を残しておきたい」っていう人は、実は多いんです。
――浪人してる最中も「野球やるぞ!」と思っていたんですか。
斉藤 思っていました! で、一緒に浪人生活をしていた高校からの同級生を、朝からキャッチボールに付き合わせたりしてましたね(笑)。

