勉強そっちのけ、野球漬けの日々だった東大時代
――そして希望通り見事、東大に進学されて、農学部へ。そこでは何を学ばれたんですか?
斉藤 生物・環境工学専修で、農作物の日照時間とか微生物の働きがどうだとか。そういうミクロの話が多かった。卒論は「休眠種子の水素ナノバブル水における発芽促進作用について」でした。
――その農学部での学びは、ご実家の農業と関係があるんでしょうか。
斉藤 関係ないですね。正直なことを言うと、僕はギリギリで卒業したんです。ギリギリ進学して、ギリギリ卒業。東大って、入学して1年半くらい経ったら「進振(しんふり)」ってシステムがあって、その1年半の成績がどれだけいいかによって、優先して学部が選べるんです。僕はもうギリギリだったんで、本当は経済学部に興味があったんですけど、もう無理で農学部へ。
――じゃあ、広かったはずの選択肢は……。
斉藤 いつの間にか狭まってましたね(笑)。でもその代わりに硬式野球部に入って、今度は勉強そっちのけでずっと大好きな野球漬けの日々を過ごしていました。
――一日中野球をやっていたんですか?
斉藤 自分が取っている講義のコマ以外は野球ですね。
でも野球漬けだったから成績が……というのは、言い訳だなって思います。やっぱり同じ状況でもしっかり勉強していたチームメイトはいたんです。1つ下の宮台康平という男なんですが、文1で法学部行って、プロ野球に入った。そして、今度は野球を辞めて司法試験に合格したって、この前ニュースになってましたね。
――プロ野球選手から司法試験に合格。すごいですね。
斉藤 ね。本当に文武両道なやつはいるんです。
――野球漬けだとまた朝が早そうですね。東大では寮生活?
斉藤 寮は選ばれた人しか入れなくて、僕は1回も入れてないんです。
――むう、厳しい。では大学時代は一人暮らしを。苦ではなかったですか?
斉藤 問題なかったです。あんまりモノを持つタイプでもないし、ご飯も作ろうと思えば自分で作れるし。姉に料理を仕込まれた時期もあったので。
――そういえばのちにYouTube仲間とシェアハウスしたときには押入れに住んでいたそうですね。
斉藤 住んでました! そう、住まうという点では、僕はあらゆる環境に適応できるのかもしれません。


