「安室奈美恵さんのように最後はカッコよく去りたい」ついに社長を引退⋯サイバー藤田晋会長が後輩たちに伝えたいビジネスの極意「トップがアホだと会社は⋯」

『勝負眼 「押し引き」を見極める思考と技術』より #8

藤田 晋

意思決定を間違えていれば全てが水の泡だ

 私が麻雀や競馬やサッカーなどで仕事をしてないように見えるのかも知れないけど、会社というのは生かすも殺すもトップの「意思決定」次第だ。優秀な社員たちがどんなに一生懸命働いたとしても、トップがアホだとどうしようもない。意思決定を間違えていれば全てが水の泡だ。タイミングを逃したらダメ、誰かに騙されたらダメ、情報に踊らされてもダメ、シンプルにセンスがない人もいる。

 しかも、その意思決定が正しかったかどうかがすぐには分からないから厄介だ。間違っていても、短期的には耳あたりの良い言葉で誤魔化すこともできる。しかし、長い年月では必ず厳しい現実となって目の前に現れるのだ。

 そんな、全員の運命を左右する意思決定をどのように行ってきたか。それを二つの研修を通じて伝えられたと思う。社長業を引き継ぐにあたり、最も大事なのは意思決定の背景やプロセスを理解してもらうことだった。

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 創業者の次の社長は、たとえ社内から抜擢したとしても創業者と同じように振る舞うのは不可能。ましてや外部からいきなりプロ経営者を連れてきて任せるのは、無理ゲーを押し付けているようなものだ。まず引き継ぎ可能な状態をちゃんと作ってから、丁寧にバトンを渡さなければならないと思う。

あの日観た安室奈美恵さんのように

 多くのカリスマ創業社長と言われる人が、引き際に失敗して、晩節を汚している。自分はそうはなりたくないけど、うまくいくかどうかは現時点ではまだ分からない。

一世を風靡したアーティストだった ©getty

 完全に自分が身を引くのはまだ先の話だけど、あの日観た安室奈美恵さんのように、最後はカッコよく表舞台を去りたいものである。