競技と妊活の両立は困難も、「選手にはあきらめてほしくない」

――適度な休息こそあれ、基本は肉体を追い込む生活を送っていると思います。健康面での苦労はありますか?

みさみさ 競技と妊活の両立は、現実的にはかなり難しいと感じています。自分の場合はかなり絞り込むスタイルなので、そのたびに生理が止まってしまって。

 2022年にIFBB PROになってからは、数年間コンテスト出場を控え、妊活治療に専念していました。ただ、思うような結果が出なかったため「次がダメなら受精卵を凍結する」と決めて取り組み、昨年の秋に無事凍結まで終えています。その後に競技準備を再開したので、現在も生理は止まったままです。

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激しいトレーニングや減量で生理が止まるのは、女性ボディビルダーにとって「当たり前」のようになってしまっているという(撮影協力:メトロフレックスジム 埼玉店) ©佐藤亘/文藝春秋

――受精卵の凍結ではホルモン注射などの薬剤投与の必要があり、肉体的な負担も大きいと聞きます。

みさみさ 受精卵を凍結するときのホルモンバランスの乱れは、本当にしんどかったです。気持ち悪いし、お腹の張りも続いて……もう二度と経験したくないですね。ほぼ毎日のように通院が必要なので、時間的な負担の大きさも痛感しました。私はまだスケジュールの融通がきくほうでしたが、会社員の人がこれを毎日続けるのは本当に大変だろうな……と思いながら通っていました。

 それでも先日、凍結してある受精卵の更新手続きに行ったときには「やっておいてよかった」と感じました。子どもを持つかどうかはまだ決めていませんが、選択肢を狭めずにいられることが重要かなって。

――妊活に取り組んで考え方が変わったこともありましたか?

みさみさ 治療を経験してみて、生理がきちんと来るありがたさや、体が正常に機能する大切さをあらためて感じました。生理が長期間止まっているのは、いわば身体機能が落ちている状態なので、いざ妊活を始めようとしても本当に苦労するんです。

「もう来なくてもいいや」ではなく、しっかりと通院して体と向き合う重要性を、SNSで発信している(撮影協力:メトロフレックスジム 埼玉店) ©佐藤亘/文藝春秋)

――同じような悩みを抱える選手は多いですか?

みさみさ どちらかというと、この競技を続けていると生理が来なくなるのが当たり前になり「もう来なくてもいいや」と思ってしまう選手も多いんです。でも、それは絶対によくないことだと思っています。生理が止まったら、必ず病院に行ってほしい。あきらめてほしくない。

 私はSNSを通じて「ちゃんと通院することの重要性」を発信してきました。それをきっかけに受診を決めたという人もいて、その話を聞くと本当にうれしくなります。女性ボディビルダーという立場から、今後もこうした発信を続けて、少しでも役に立つ知識を届けたいなと思っています。

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