ミニシアターで上映できる日本の環境

――今も大阪を拠点に活動されていますが、日本で映画を作り続けるのはなぜですか?

リム やっぱり、日本にはミニシアターがあったからです。こういうアート系の映画でも公開できる環境がある。実は僕の映画はほとんど日本でしか劇場公開されていないんですよ。

 ヨーロッパにもミニシアターはありますけど、配給会社がつかないと難しい。個人で直接劇場と話をして、というのはあり得ない。日本だけですよね、それができるのは。だから、日本で映画を撮るということはすごく恵まれている。自分が撮り続けてきた理由もそこにあります。作って、映画祭で終わるだけじゃなくて、上映できる劇場があるから。

ADVERTISEMENT

――ミニシアターの環境も年々厳しさを増す中、15年前に作られた作品がこうして劇場で公開されるのは、本当に貴重なことですね。

リム そうですね。もっとお客さんが入ってほしいです(笑)。僕が言うのもなんですが、本当に面白い映画なんです。

『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』©cineadrifters

『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』

監督・脚本:リム・カーワイ/出演:大塚匡将、ゴウジー(狗子)、ホー・ウェンチャオ(何文超)/撮影:メイキン・フォン・ビンフェイ(馮炳輝)/録音:山下彩/編集:奥原浩志、フィリップ・リン/美術:アマンダ・ワイス/音楽:アルバート・ユー/2025年(リマスター版)/2010年(オリジナル)/マレーシア・中国・日本/98分/配給:Cinema Drifters/©cinemadrifters/全国順次公開中

次のページ 写真ページはこちら