9月13日、日本未公開の台湾映画の名作・話題作を紹介する「台湾文化センター 台湾映画上映会」の第6回が、シネ・ヌーヴォ(大阪市)で開かれた。この日上映されたのは、『夫殺し デジタル・リマスター版』。オリジナルは1984年製作で、その衝撃的な内容から社会に大きな議論を巻き起こした李昂(リー・アン)の小説『夫殺し』(1983)が原作。上映後には京都大学大学院人間・環境学研究科准教授の津守陽氏をゲストに迎えたトークイベントが開催された。津守氏は、大学院時代にこの小説と出会い、論文「『殺夫』論」を執筆したという。聞き手は上映会キュレーターのリム・カーワイ監督が務めた。

『夫殺し』ポスター

『夫殺し デジタル・リマスター版』

深夜に母親が食べ物と引き換えに体を売る姿を目撃した少女。成長し、残酷な結婚生活の中で、彼女の精神は追い詰められていき……。世界15カ国で翻訳された現代台湾フェミニズム文学の最高傑作として知られる、李昂(リー・アン)の小説『殺夫』(1983)の映画化。李昂の初期作品に見られる台湾の郷土への関心を受け継ぎつつ、性、飢え、権力関係に対する鋭い洞察が描き出されている。

監督:ソン・ジュアンシャン/出演:パイ・イン、パット・ハー、チェン・シューファン/1984年/台湾/102分/原題:殺夫 數位修復版/©Tomson Films Co., Ltd. / Taiwan Film and Audiovisual Institute/原作邦訳:『夫殺し』(藤井省三訳・宝島社・1993)

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