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妊娠のことを考えると、強姦の悪夢もよみがえってくるので、由貴は意図的に「考えない」ことにした。生理も「そのうち来るわよ」と漫然と考え、法的に堕胎可能な6カ月を過ぎると、「もし生まれたら殺してしまおう。妊娠自体をなかったことにすればいい」と考えるようになった。
奇跡的に腹部があまり膨らまなかったことと、細田とする際には必ず部屋を真っ暗にしていたので、妊娠に気付かれることなくやり過ごせた。
自宅のトイレで女児を出産
デリヘルを辞めてから、代行運転手に転職していた由貴は、その勤務中に陣痛に襲われた。同僚の女性に自宅に送ってもらい、細田が由貴の車を会社まで取りに行っている間に、由貴は自宅のトイレの床に女児を産み落とした。
「オギャー、オギャー」
その声を聞いて、当時9歳の長女が飛び起きてきた。
気付かれた以上、味方にするしかないと考えた由貴は、「バスタオルとはさみを持ってきて。あとビニール袋も。台所にあったでしょ」と指示して、必要なものをトイレに持ち込ませた。
自分でへその緒を切り、赤ん坊をバスタオルで巻いて、ビニール袋に入れる作業は長女に手伝わせた。そして、厳重に口を結び、緑茶のペットボトルを入れていた段ボールの中に殺害した女児の遺体を入れ、子ども部屋の押し入れに隠した。細田に最も見つからない場所と考えたからだ。
「いいかい、このことは絶対に誰にも言っちゃダメだよ。ここにいられなくなっちゃうし、お母さんが悪者になっちゃうんだからね!」