「彼女がカッとなった時は、僕が我慢すればいい」

 悟さんは経済的に厳しい家庭で育ち、両親は2人とも真面目で、我慢と努力が美徳という考えだったそうです。生活も質素倹約が基本。

「生活に困るという事はありませんでしたが、友だちの持っているゲームを欲しいと言っても買ってもらえませんでした。『我慢しなさい』と言われて。それにも慣れて、だから特に不満もなくて」

 次第に弱音は吐かなくなり、我慢と努力が身についたと言います。

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「妻と出会って、思った事を全て口に出すし、感情も全てぶつけてくるし。そういう所が自分にはないので、魅力に思えました」

 心理テストの結果、真面目で自分が決めた事は貫き通す意志の強さや、自分の感情を抑え込む傾向が見られました。彩子さんに対する愛情はあり、仲良く穏やかに過ごしたいと思っているけれど、今はどう接していいか分からない戸惑いもあるようです。暴力を振るうような衝動性は認められませんでした。

「彩子さんに対しても、ずっと我慢して来たんですか?」

 悟さんは少し困った表情を浮かべながら言いました。

「彼女は大事に育てられた人なので、僕も大事にしてあげなきゃ、と。だから家事も出来るだけやって来ましたし、彼女がカッとなった時は、僕が我慢すればいいんだ、と思って来ました。でも彼女の怒りはおさまらないし、疑いも消えないし……『DVだ!』と言われてもうどうしたらいいのか……」

次の記事に続く 「私、許せなくて」夫に『衝動的なDV』を繰り返す“30代既婚女性”がカウンセラーに語った「言い分」