欧州&日本にとってのリスクとは?

 しかしこの縮小過程は、ある独特の危険を伴っています。それは欧州と日本にとってのリスクです。

 今日の米国には、私が「古い帝国」と呼ぶ地域――1945年に占領した帝国――、要するに日独に対しては、むしろ支配権を維持し、これまで以上に搾取しようという傾向が見られます。欧州と日本に「高率の関税」や「米国への投資の強要」といった経済的搾取を行なっているのは、そのためです。

10万部超(電子版を含む)のトッド氏の著作『西洋の敗北

西洋の敗北』〔世界27カ国で翻訳決定〕の各国語版の刊行に合わせて、いくつかの欧州諸国を訪れました。ドイツも訪問したのですが、「被占領国の地位に逆戻りしたのではないか」という印象を強く受けました。

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 東西統一後にドイツの首都は、ボンからベルリンに変わりましたが、欧州最大の米空軍基地のあるラムシュタイン基地こそ、現在のドイツの首都ではないか、と。今日の欧州に新たなに生じている同じような危険が日本にも迫っていると思われるのです。

佐藤優氏 ©文藝春秋

 佐藤 「アメリカ帝国」の縮小過程で敵国よりも同盟国に対して強硬になる、という指摘はとても重要で、私はヤクザのアナロジーを用いました。組全体が弱くなる過程では、上納金の徴収などにおいて、傘下の周縁の組よりも、直下にある直参の組への締め付けを強めるものだ、と。

 トッド それは見事な喩えです!

※本記事の全文(約9000字)は、「文藝春秋」1月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(エマニュエル・トッド×佐藤優「米国の敗北を直視して核武装せよ」)。 全文では、以下の内容についても語られています。
・日本が米国に抱えるトラウマ
・金銭と名誉だけでは動かない

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出典元

文藝春秋

【文藝春秋 目次】前駐中国大使が渾身の緊急提言! 高市総理の対中戦略「3つの処方箋」/霞が関名鑑 高市首相を支える60人/僕の、わたしの オヤジとおふくろ

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