2025年の参議院選や自民党総裁選は、多くの未確認情報に彩られた。参政党の神谷宗幣や自民党の高市早苗などが外国人に関わる過激な主張をし、その真偽が問われたものの、参政党の躍進や自民党総裁就任などの成功を収めている。ここで共通しているのは、全体の傾向を示すデータや過去の研究などに基づかず、自分の実感や見聞などに基づいて議論を展開するところだろう。一部で共有されているストーリーに基づき、そのストーリーを全体に当てはめて持論を展開するのだから、当然現実とは大きく乖離する。たとえば筆者には2メートル近い身長の知り合いがいるが、しかしだからといって日本人は全員背が高い、とは言わない。日本人全体の傾向を見たければ、平均身長(とそのバラツキ)を当然みるものだ。しかし一部の政治家は、2メートル近い身長の人々を念頭に置いて身長に関する話を進め、果ては政策にまで移そうとする。

高市早苗首相 ©時事通信社

外国人と犯罪はとにかく結びつけられやすい

 こうした傾向は一般の有権者にも共通して見られる場合がある。不安定な情勢が続く社会であるからこそ、自分の実感を疑い、データや過去の研究に学ぶことが重要となる。本稿では、特に外国人と犯罪に関して筆者や欧米の研究者が行った研究を紹介し、これからの日本社会を考える材料を提供したい。

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 外国人と犯罪はとにかく結びつけられやすい。しかしながら、この結びつきは多くの場合影響力のあるストーリーに基づいて形成されており、必ずしも過去の研究や統計情報に基づいたものではない。筆者が過去に実施した調査では、日本の刑事事件で検挙された人のうち、何%が外国籍の人によるものかを日本人回答者に尋ねている。外国人による犯罪率は実際には5%にすぎないが、回答の平均値は31%に達し、現実と大きく乖離した値を示していた(※1)。