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与党主導の国会改革をさせないために

――混乱の末、国会会期末には国会改革を目指す機運も芽生えました。自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長が主導した「平成のうちに衆議院改革実現会議」(通称・国会改革議連)を巡っては、超党派とはいえ、野党の中で国民民主党の議員だけが参加。立憲民主党は早々に離脱し、そこでも野党の足並みの乱れが目立ちました。

泉 私があの超党派議連に参加した理由は、与党主導の国会改革をさせないためでした。特に、自民党から出てきた「総理と大臣がこんなに国会に縛られているからけしからん!」みたいな話は、全くの筋違い。我が国は、総理や大臣が国会にじっくり向き合って、丁寧に審議に参加してきたからこそ、法律にも予算にも重みが生まれ、それを役所が誠実に実行することによって安定を維持してきた。総理や大臣の国会に対する関与を薄めれば、立法軽視、予算軽視、国民軽視の姿勢は強まってしまう。

「平成のうちに衆議院改革実現会議」の会合 ©AFLO

――国会改革議連の幹事長でもある泉さんが記者会見の場で、隣にいる小泉さんがそういう見解を口にした直後、「それは議連としての統一見解ではない」などと釘を刺す場面もありました。

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辻元 あれはかっこよかった。

泉 どうも、小泉さんの進め方では与党主導になりがちでした。「超党派の議連」といっても、参加者の7~8割は与党議員。発言者も同じ割合です。自民党の部会でモノを主張するような発言も見られました。出てきた議事録も与党の意見で占められ、野党としてはそのまま丸呑みするというのはあり得ないよという思いでした。ですから、参加を取りやめた立憲民主党の姿勢も一定程度は理解できます。

 国会最終日、超党派議連の自民、公明、維新、無所属の役員たちが衆院議長に申し入れを行いました。ですが、国民民主党は申し入れに参加することを断りました。中身はさることながら、野党が結束して内閣不信任案を提出し採決された直後のタイミングでは、与野党が一緒に「国会改革案をお持ちしました」と申し入れするのは政治的センスとしてもおかしいと思うわけです。

小泉進次郎氏には「立憲から出た案をしっかり受け止めて」

――小泉さんは衆院議長に提出した後、「同会議を通じて国会改革のうねりが生まれたおかげで、参加できなかった立憲民主党からも国会改革の提言が出てきた」という主旨のことを話していました。

辻元 「うねり」なのかどうかは知りませんが、実は立憲民主党の山内康一さん(国対委員長代理)は小泉さんが動くずっと前から国会改革の提案をコツコツと作っていたんですよ。

 

泉 山内さんは8年前に国会改革を提案した8人(自民党・河野太郎、柴山昌彦、民主党・細野豪志、馬淵澄夫、長島昭久、泉健太、みんなの党・水野賢一、山内康一)のうちの1人ですから、僕と同じく国会改革に対する強い思い入れがあります。

 今日、立憲民主党が作った国会改革案を山内さんから受け取りました。非常に共感を覚えました。もうすでに、小泉さんには「立憲から出た案をしっかり受け止めて、超党派で実現に持って行きましょう」という話はしました。例えば、両案で一致している女性議員の出産、育児に際しての議決の問題は、議論の俎上に載せられると思います。

辻元 私、小泉さんがあの議連を立ち上げる前に直接申し上げたんです。「国会改革って言うのだったら、自民党を先に改革するべきでしょう」と。「膿を出しきるとか言っている総理大臣を信じているの? 自分の党を叩き直してから野党に言いに来てよ!」と私は言いました。