以下に掲げるのは、北海道新聞の報道記事をもとに筆者が作成した西野地区周辺で駆除されたクマの一覧である。(※カッコ内は体長、以下同)

10月9日 西区西野 箱ワナ メス成獣(1.4m)

11日 西区西野 箱ワナ オス成獣(1.5m)

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13日 西区西野 箱ワナ メス成獣(1.4m)

14日 西区西野 箱ワナ メス成獣(1.3m)、子グマ(65cm)

24日 西区西野 緊急銃猟 メスの子グマ2頭(70cm、80cm)

※10月24日に駆除された2頭の子グマは、それ以前に駆除されたメス成獣の子グマと考えられる。

クマ目線で住宅街を見る ©伊藤秀倫

西野地区に住むヒグマ対策のプロ

 ちなみに西野地区は現在筆者が住んでいる場所からも車でせいぜい10分ほどの距離にすぎない。連日ニュースで報じられる出没と駆除の情報に「今日駆除されたのは、いつどこに出てたクマだ?」と混乱するとともに、まるでヒグマが大挙して自分の生活圏に押し寄せてくるような感覚を覚えた。

 同時に「あの人はどう見ているのかな?」と気になった人物がいる。

「野生動物被害対策クリニック北海道」代表の石名坂豪である。

「“あらまぁ、やっぱりこんな近くにいるんだなぁ”という感じですかね」

 その石名坂は、この人らしく飄々とした調子で言った。 

札幌市内にて(石名坂豪氏)

 2006年から2023年まで知床半島で環境省や知床財団の職員としてヒグマ対策に携わった石名坂は、獣医の資格を持ち、網・わな・第一種銃猟免許を所持するハンターでもある。いわば“ヒグマ対策のプロ”である石名坂が2023年に独立し、鳥獣対策コンサルタントとして事業所を立ち上げたのが、まさに札幌市西区西野だったのである。

「もともと西区には祖父母の家が昔あったんです。せっかく知床から札幌まで来たのに、まさか家から見える場所にこれほどヒグマが出てくるとは思いませんでした」と苦笑する。