文春オンライン

ジミー大西の人生を描いたドラマ 明石家さんまが唯一気にしていたこと

ジミー大西を演じた中尾明慶インタビュー

「ボクよりジミーです!!」

──さんまさんは仕上がりについて「大満足! 本番で完璧に仕上げて役者さんて凄い」と記者会見でもおっしゃってました。

「さんまさんはすごくほめてくださって、クランクアップした後もメールをくれて『ホンマにやってくれて助かった。ありがとう』て言ってくださったんで、それだけでもう本当に……」

──ジミーさんの反応は?

ADVERTISEMENT

「ジミーさんは……なんて言ったらいいんですかね(笑)。いつも『ジミー1000%です!』とか『ボクよりも中尾さんのほうがジミーです!!』とか言ってくださるんですけど、どういう意味なのか、いまだにちょっとわからなくて(笑)」

©2018YD クリエイション

みんなの思いが強かったから「ありえへん」ことが起きた

──いよいよ世界190カ国に配信が開始されて、今、どんなお気持ちですか。

「この作品自体がいろいろなことがありまして、撮り直しをして……これももうありえない話じゃないですか。玉山さんが代役を演ってくださったのもありえないことですし、普通だったらそのままお蔵入りになってしまう危機だったと思います。でもそこで、もう一回みんなを集めて、スタッフも集結して、撮り直そうと立ち上がって、今ここまで来ることが出来ました。

 さんまさんはじめ、みなさんの、そうまでしてやりたいって思いがこの作品には入っているんです。だから、少しでも多くの人に届いてほしいと思っています」

──ジミーさんのような存在は、人にない才能を持っていても、社会からはじかれてしまいがちです。ジミーさんをまるごと受け入れて面白がるさんまさんのある種の「凄み」のようなものを感じました。以前、亡くなった消しゴム版画家のナンシー関さんが、さんまさんについて「相手が総理大臣だろうが、子どもだろうが、老人だろうが、石ころだろうが、まったく態度が変わらない人」と評していました。

「ああ……さんまさんは、本当にそういう人です。いつでも、誰に対しても何も変わらない。それってすごく難しいことだと思うんです。生身の人間だから、調子や機嫌の悪いこともあるだろうに、どんなときでも変わらないんです。今は、ジミーさんみたいな人がなかなか受け入れてもらえない世の中ですよね。それを最初にまるごと受け入れたさんまさんの懐の深さ、大きさも『ありえない』ことだと思うんです。『ありえへん』こと尽くしのドラマだな、とつくづく思いますね」