“サブカル女子”と呼ばれた10代
二階堂のフィルモグラフィーには個性的な監督の作品が多い。特に10代から20代前半にかけてはその傾向が顕著だ。
14歳のときにヒロインに大抜擢されたのは役所広司の初監督作『ガマの油』で、その後も『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』の入江悠、『ヒミズ』と『地獄でなぜ悪い』の園子温、『悪の教典』の三池崇史、『四十九日のレシピ』のタナダユキ、『ほとりの朔子』の深田晃司、『私の男』の熊切和嘉、『渇き。』の中島哲也、『味園ユニバース』の山下敦弘などと仕事をしている。現在の国民的なポピュラリティとは程遠い作品群だが、いかにも二階堂ふみらしいラインナップである。
10代の二階堂をメディアは「サブカル好き女子」「不思議キャラ」「こじらせ女子」と呼んだ。彼女が当時ツイッター(現在は閉鎖)で明らかにしていた「好きなものリスト」を見ると、そう呼びたくなるのもわかる。
憧れの俳優はブリジッド・バルトー、ジーナ・ローランズ、高峰秀子、スティーヴ・ブシェミ、好きな映画監督はエリック・ロメール、興味を示していた作品は『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』や『ゴーストワールド』などのカルト映画、音楽はクラッシュ、イギー・ポップ、ラモーンズ、愛読書は室生犀星、ハイデガー、嶽本野ばら……。サブカル女子の面目躍如たる並びである(女子SPA! 2013年9月23日)。
幼少期には手塚治虫の『火の鳥 望郷編』を読んで衝撃を受けたとも語っている。詳しい説明は省くが、とんでもない問題作である(COM版なのか、マンガ少年版なのかどっちだろう)。
「物心ついたときから」女優への憧れ
早くから身も心も女優だった。女優になりたいと思っていたのは「物心ついたときから」(シネマトゥデイ 2009年5月23日)。映画が好きだった母親の影響だった。
12歳でフリーペーパーのモデルにスカウトされたときは「映画に出られる!」と思ったという。16歳のときには「女優さんほど素敵な職業はない」と言い切り、役を演じることは「魂のぶつけあい」だと表現している(Deview 2011年4月15日)。
