多様化、複雑化、高度化する市民のニーズに対応するためには、弁護士に限らず、数々の専門職を市役所に適切に配置すべきだというのが私の持論です。ですから学校現場では、スクールカウンセラー(心理職)、ソーシャルワーカー(福祉職)を、スクールロイヤー(弁護士)とともに配置しました。
カウンセラーだけでは解決できない「子どもの問題」
つまり、スクールカウンセラーを置くところは多いけれども、本当に子どもの問題を解決しようと思ったら、子どもの話を聞いて「それはきついね、つらいね」と寄り添っているだけでは十分ではありません。
問題を抱えている子どもの場合、親が精神を病んでいたり、借金だらけになっていたり、地域とトラブルを抱えていたりすることも少なくない。そういう時に、心理職がハーブティーなんかを飲みながら、子どもの話を聞いたところで、もちろん子どもの心を解きほぐすというのもひとつ大切なアプローチだけれども、それだけでは解決につながらない場合もあります。
本当に解決しようとしたら、専門職によるチームアプローチが必要です。だから、トラブルや破産にはスクールロイヤー、親の精神障がいや生活保護であれば福祉職、そういう専門家チームの横のつながりがあって初めて、子どもの生活を救うことにつながるのです。本気で解決しようとしたら、専門職のチームアプローチが不可欠、というのが私の考えでした。
DV相談員を「年収700万」で募集
学校に限らず、市民の命と暮らしを守るために、市役所には専門家の働きを必要とする現場が数多くあります。だからこそ常識的な待遇をもってしかるべき部署にしかるべき専門職を配置すべきなのです。
例えば、DV(ドメスティック・バイオレンス)問題の相談員。2024年5月に可決・成立した共同親権がいずれ施行されますが、この制度によって加害者との接触が絶てなくなるではないかといったDV被害者の不安は大きく、今後は支援体制のさらなる拡充が急がれます。