初心者から上達しないなかでのビギナーズラック

 いよいよ投資を始めたものの、投資本も簡単なものばかり読んでいるので知識はレベルアップしません。新聞で株価をチェックしたり、年に1回、『会社四季報』を買って特色欄や記事の部分を読んだりしてみますが、有意義な使い方とはいえませんでした。

 その間に、大学を卒業して両親と一緒に働き始めました。収入は増えますが、儲かっていない文房具店なので給料は小遣い程度ですし、友人とよく飲み、旅行も楽しんでいたので、少しずつしかお金は貯まりません。

 最初に投資した4銘柄は買って1か月近くは値上がりして含み益が出ていましたが、その後2年以上値下がりした含み損状態が続きます。特にパラマウントベッドの下がり方が酷かったので、少ない給料から追加入金し、10株ずつのナンピン買いを何度も行いました。当時、業績が悪かったモスフードサービスを売り、売却したお金も、パラマウントベッドの資金に充てました。

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 1997年から相場は大きく動きます。アジア通貨危機が起き、日本では山一證券、北海道拓殖銀行、三洋証券が破綻。98年8月にはロシアが短期国債のデフォルト(債務不履行)を宣言して、当時世界最大のヘッジファンドだったLTCMが破綻しました。ところがそのLTCMをアメリカ政府が迅速に救済し、99年からはITバブルに突入します。

 ITバブル相場によって、東芝や富士通は1.5倍以上で売却できました(じつはその後、株価がさらに暴騰し地団太を踏むのですが、一応儲かったのでいいか)。完全にビギナーズラックです。

 さらにしばらく株価を見ていなかったパラマウントベッドが暴騰していて、6200円ほど(分割考慮後の株価)で売却できました。

画像:『2億稼げる なごちょう式 低リスク超分散株投資』より

 ナンピン買いをして200株程度持っていたので、ラッキーパンチで儲けることができました。ほかの保有株も値上がりし資産は一気に830万円に増えます。株式投資はちょこっと勉強して数年がまんすることができれば簡単に儲けることができるという、間違った成功体験をしてしまったのでした。

次の記事に続く 竹中平蔵のせいで400万円が消滅⋯! 「株は簡単ではない」とわかる『歴史的な大暴落』の恐怖