ある“売れっ子芸人”からのアドバイス
――毎年数多くの新人がデビューする、競争が激しい世界でもあると思います。売上が悪ければ続けられるわけではないなか、10年間現役を続けられた秘訣はあるのでしょうか。
かさい 始めて2~3年で気づいちゃったんですよ。「あ、私、売れる女優じゃないな」って(笑)。
やっぱり、とてつもなく可愛い子が次から次へと入ってくるんです。最初は事務所に「売ってください」って丸投げしていたんですけど、ポテンシャルだけで勝てる世界じゃない。その中で自分の「売り」は何だろうって考えました。
それでもなかなか答えは出ず、その頃、よく飲みに連れて行ってもらっていた芸人の河本(準一)さんに相談したんです。「どうやったら売れますか?」って聞いたら、「天才はすぐに売れるけど、凡人はまず『辞めないこと』が大事だ」って言われたんです。
――「辞めないこと」ですか。
かさい そうです。「大体のやつは5年で辞めていく。でも、そこを耐えてもう1年いたら、6年目にチャンスが来るかもしれない。いつの間にか『ずっといるな、こいつ』っていう存在になれば、母数が増えてチャンスも回ってくる」って。
その言葉がすごく腑に落ちて。「じゃあ私は石の上にも10年、とにかく居座り続けてやろう」と決めました。
そこからはもう、「何でもやります!」の精神です。「無料でもいいから出させてください」「体張ります」ってあちこちに言いふらして、人がやりたがらないような仕事も全部引き受ける。自分で「隙間産業」って呼んでましたけど、そうやって泥臭く仕事を取りにいきました。