AV女優引退発表直後の予期せぬ妊娠。しかし、それは幸せな家庭生活の始まりではなかった。告げられたパートナーの言葉は「結婚はできない」。そして彼は、彼女の前から姿を消した。

 無事、出産を終え、現在は愛息の「自閉症」という新たな個性とも向き合うかさいあみさん。彼女が辿り着いた「親としての覚悟」とは。語られてこなかった胸中に迫る。

 ◆◆◆

ADVERTISEMENT

「もう子供はできない体なのかな」と半ば諦めていたタイミングでの妊娠発覚

――前回、引退発表の直後に妊娠が発覚したというお話がありました。当時はどのような状況、心境だったのでしょうか?

かさいあみ(以下、かさい) 年齢も30歳を超えていましたし、以前に少し婦人科系のトラブルもあったので、「もう子供はできない体なのかな」と半ば諦めていました。しかも、ピルも飲んでいたので、生理が遅れた時も、「まさか」と思って。

 ちょうどその当時、仲のいいAV女優の佐倉絆ちゃんと澁谷果歩ちゃんと一緒にコラムの執筆作業をしていた日があったんですけど、雑談で「生理がこないんだよね」って話したんです。そうしたら、「じゃあ今から検査薬買いに行こうよ! 企画のネタになるじゃん!」って盛り上がっちゃって(笑)。

――すごいノリですね……(笑)。

かさい そうそう。「できてたらどうする?」「できるわけないじゃん!」なんて笑いながら、3人でトイレに行って、せーのでごちゃ混ぜにした検査薬を見せ合ったんです。そうしたら、1つだけ陽性の線が出ていて。

かさいあみさん

 その瞬間、全員が「シーン……」って静まり返りました。「え、マジ?」って。でも、2人のどちらかが「平成最後に駆け込んだね! おめでとう!」って言ってくれて、そこで「そっか、私はお母さんになるんだ」って実感が湧いてきました。

――パートナーの方にはすぐに伝えられたんですか?

かさい はい。当時の彼とは結婚を前提にというわけではなかったですが、ちゃんと報告しようと思って。でも、反応は予想外のものでした。

 堅いといいますか、世間体を気にする仕事をしているからなのか「AV女優とは結婚できない」「周りの目がある」と言われてしまって……。そこから連絡が途絶えて、音信不通になりました。

――えっ、逃げられたということですか?