「もう死ぬしかないのかな」なんて思い詰めたこともありました

かさい 完全に逃げられましたね(笑)。LINEを送っても既読にならない。電話も出ない。つわりで体調も最悪な中、不安で押しつぶされそうでした。

「どうしよう、子供はどんどん大きくなるのに」って毎日泣いていました。一時期は本当にメンタルが落ちてしまって、誰とも連絡を取らずに家に引きこもって、「もう死ぬしかないのかな」なんて思い詰めたこともありました。

 そんな時、心配した仲間の女優や監督たちが家に押しかけてきてくれたんです。「次ピンポンして出なかったら警察呼ぶぞ!」って連れ出してくれて。あの支えがなかったら、どうなっていたかわかりません。

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――不義理をされた男性との間の子になるわけですが、「産む」という気持ちは揺るがなかった?

かさい 揺るぎませんでしたね。「できちゃったからには産みたい」という本能みたいなものがあったんだと思います。

 だから、腹を括りました。彼には「結婚はしなくていい。ただ、子供の認知だけはしてほしい」と伝えることにしたんです。周りの人に協力してもらって、なんとか連絡はとれるようにして。

――認知だけは譲れなかった最大の理由は何だったんでしょうか。

かさい 子供のためです。将来、子供が大きくなって戸籍を見た時や、「お父さんは誰?」と聞いてきた時に、父親の存在が全くないことにはしたくなかった。たとえ一緒に暮らせなくても、父親がいるという事実だけは残してあげたかったんです。

 そこからは弁護士を立てての戦いでした。彼は最初「俺の子じゃない」なんて言い逃れようとしたので、DNA鑑定もしました。

――そこまでされたんですね。

かさい やりましたよ。AV女優だから父親が分からないなんて言わせないために(笑)。結果はもちろん黒で、彼の子であることが確定しました。

 そこまで証拠を突きつけて、ようやく認知を勝ち取りました。養育費なんて携帯代にもならないし特に期待もしてませんが、それでも「父親」という欄を埋めることはできた。それで十分だと思っています。結婚することだけが、両親がいることだけが幸せじゃないのは、私も知っていますから。